研究課題
気管支喘息の難治化要因として、副鼻腔炎・鼻茸が知られており、上気道と下気道病変の関連が注目されている。しかし、呼吸器内科の立場より両疾患の関連に着目した際には、上気道病変は、問診等での評価にとどまることが多く、特にCTによる客観的評価に基づいた検討や、共通のバイオマーカーの探索に主眼を置いた検討は少ない。また、大規模な前向き登録研究により両病態の関連を詳細に検討した報告はなく、両病態を結びつける分子生物学的研究は少ない。本研究では、北海道難治性喘息コホート研究に登録された気管支喘息患者を対象として、特に、CTによる評価とバイオマーカーの探索に焦点を置き、副鼻腔・鼻茸病変と気管支喘息との関連を検討することを目的とする。平成27年度においては、特に喫煙が、気管支喘息における上気道の連関に与える影響を検討する目的で、全対象を喫煙者、非喫煙者に分類し、副鼻腔スコアと気管支喘息の各種指標との関連を検討した。その結果、喫煙歴に関わらず、副鼻腔病変と好酸球性炎症との関連が見出された。いっぽうで非喫煙者においては、副鼻腔病変と呼吸機能との関連を認めたが、喫煙者においてはその関連が見られなかった。また、上気道の連関を示唆する血中バイオマーカーとして、ペリオスチン、オステオポンチンなどの細胞外マトリクス蛋白、YKL-40、CC16など、過去の報告で気管支喘息、副鼻腔炎との関連が報告されている蛋白に着目し、血中、喀痰中の蛋白濃度を測定した。その結果、血中ペリオスチンは、喫煙歴に関わらず、好酸球性炎症との関連を認めた。いっぽうで、血中オステオポンチン、喀痰中IL-5は、非喫煙者においてのみ、好酸球性炎症との関連を認めた。
2: おおむね順調に進展している
気管支喘息における上下気道の連関、及び関連するバイオマーカーとの検討は終了し、現在論文作成中である。
今後は対象に健常者も追加し、同様の検討をおこなう予定である。
健常者における血中バイオマーカーの測定に関し、本年度じゅうに終了できなかった為。
健常者における血中バイオマーカー測定の為、蛋白ELISA kitの購入及び受託測定費に使用する予定である。
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