気管支喘息の難治化要因として、副鼻腔炎・鼻茸が知られており、上気道と下気道病変の関連が注目されている。しかし、呼吸器内科の立場より両疾患の関連に着目した際には、上気道病変は、問診等での評価にとどまることが多く、特にCTによる客観的評価に基づいた検討や、共通のバイオマーカーの探索に主眼を置いた検討は少ない。また、大規模な前向き登録研究により両病態の関連を詳細に検討した報告はなく、両病態を結びつける分子生物学的研究は少ない。本研究では、北海道難治性喘息コホート研究に登録された気管支喘息患者を対象として、特に、CTによる評価とバイオマーカーの探索に焦点を置き、副鼻腔・鼻茸病変と気管支喘息との関連を検討することを目的とする。気管支喘息における上下気道の連関を、CT所見及び血中・喀痰中のバイオマーカーとの観点より検討した。特に、全患者を、喫煙者と非喫煙者に分けて検討した。 喫煙者、非喫煙者において、下気道における好酸球性炎症と副鼻腔スコアとの関連を認めた。いっぽう、呼吸機能検査所見に関しては、非喫煙者者では、副鼻腔スコア、下気道炎症と気流閉塞との関連を認めたが、喫煙者においては、関連を認めなかった。血中バイオマーカーにおいては、非喫煙者、喫煙者いずれも、血中ペリオスチンと気道炎症との関連を認めたが、オステオポンチンに関しては、非喫煙者のみ、好酸球性炎症、気流閉塞との関連を認めた。 今回の結果により、非喫煙者、喫煙者において、気道炎症に関しては、上下気道の連関を認めたが、喫煙者においては、その連関を認めず、喫煙者における気流閉塞形成の多様性を示す結果であった。
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