研究課題
現在、肺癌においても癌治療のテーラーメード化がいわれているが、同時に治療薬も高額になってきている。治療効果を予測することは癌治療自体のみならず、医療経済的にも重要となっている。非扁平上皮癌では腫瘍血管新生をターゲットにした抗VEGF薬であるbevacizmabが治療適応となっている。抗VEGF薬は、腫瘍血管新生をターゲットにする治療であるが、まだどのような患者に効果があるかはわかっていなかった。骨髄由来の血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell : EPC)組織へと組み込まれ増殖、コロニーを形成し、血管内皮へと分化する細胞であり、腫瘍血管内皮にも分化していることも明らかになった腫瘍血管新生のマーカーである。我々の先行研究において、過剰な血管新生つまり「EPCの高い群」では抗癌剤の効果として腫瘍縮小率および無増悪生存期間が劣るという結果を得ている。一方、報告ではEPCの高低で抗VEGF薬併用化学療法の効果が同等とされている。我々の検討との比較から、抗VEGF薬併用化学療法はEPCが高い群で顕著な上乗せ効果が得られるという仮説を立て検証した。非扁平上皮肺癌患者を対象とした臨床研究において、Bevasizmab併用化学療法の効果を評価した。EPC数が少ない群では非併用療法と比べ無増悪生存期間および腫瘍縮小率に上乗せがなかったが、EPC数が多い群では、両者で有意な上乗せ効果を認めた。治療前の末梢血中のEPCは治療ターゲットであるばかりでなく、その数は抗VEGF薬併用化学療法の効果予測因子となる可能性を見出した。
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Medical oncology
巻: 33 ページ: 57-64
10.1007/s12032-016-0773-5