研究課題
肺特異的にCCL1を過剰発現するCCL1 transgenic マウス(SPC-CCL1 Tgマウス)を新規に作製し、Bacille de Calmette et Guérin(BCG)気管内投与を行い感染モデルを作製し、肺における病態を評価した。また、DNA microarray解析を用いてこれらのマウスの肺における遺伝子発現を検討した。顕微鏡的観察では、SPC-CCL1 Tgマウスで有意に肉芽腫の増加を認めた。また肺間質における炎症は抑制されていた。DNA microarray解析及びクラスター解析の結果、SPC-CCL1 Tgマウスは野生型に比べ、“生物的ストレスに対する応答”に関連するタグをもつ47の遺伝子で顕著な発現増加を認め、小胞体ストレスと肉芽腫形成に重要な役割を果たしているErn1が野生型に比べSPC-CCL1 Tgマウスで発現が亢進していた。また免疫グロブリン関連遺伝子であるIghg、IGHV、Igk-V5遺伝子の発現が亢進していることが示された。Ern1がコードしている小胞体膜貫通型キナーゼであるIre1の自己リン酸化体であるPhospho-Ire1を免疫染色で評価したところ、SPC-CCL1 Tgマウスで発現の亢進を認めた。Ern1および活性化したIre1により誘導される転写因子であるXbp1(X-box binding protein 1)をreal time PCRで定量評価したが両群で有意な差異を認めなかった。肺癌や呼吸器感染症、慢性閉塞性肺疾患急性増悪の患者の血清検体においてCCL-1の濃度をELISA法にて測定を行ったがいずれの検体も検出限界以下という結果であった。これらの結果よりCCL-1は遺伝子レベルにおいて何らかの差異を有するものの、血清における蛋白レベルでは検出限界以下のレベルでしか発現していないことが明らかとなった。
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