研究課題/領域番号 |
26461156
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
森山 寛史 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (60463981)
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研究分担者 |
高田 俊範 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (40361919)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 元素分析 / 電子線マイクロアナライザー / オンライン / 超硬合金肺 / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
元素分析をオンラインで受け付けるホームページを開設して、国内外の肺組織の元素分析を行ってきました。研究目的には、「特殊な設備をもたない国内外の一般医療機関からの元素分析の依頼を積極的に受付け、原因不明の呼吸器疾患について、診断・治療に役立ててたい」という主旨でした。元素分析には、波長分散型電子線マイクロアナライザーを使用して、病理組織と対比して詳細な解析を行い、分析結果を依頼先に返送しています。 平成26年は、16件の元素分析のご依頼がありました。いずれも国内からですが、依頼先は大学病院など特定機能病院に限らず、一般病院からの依頼も6件含まれておりました。また直接分析の依頼ではありませんが、元素分析についての問い合わせも5件あり、少しずつ国内の呼吸器科医に認知されてきています。分析により、タングステンが肺組織内の線維化部位に証明され、超硬合金肺と診断された症例が1件あります。また、分析の結果大量のケイ素が検出され、間接曝露に伴う珪肺と診断された症例もありました。 平成27年度は、さらに元素分析を広めて、分析により診断が可能な症例、病態の解明に役立つ疾患の解析など行っていく予定です。超硬合金肺、珪肺、アルミニウム肺、インジウム肺などが疑われる症例を分析・診断していきます。最近では、自己免疫性肺胞蛋白症に元素分析を応用しており、肺胞マクロファージに含まれる元素の解析を行いたいと思います。電子線マイクロアナライザーは、鮮明な組織像の中に、元素の存在部位が明瞭に同定できる利点があります。免疫組織化学との組み合わせにより、各種のスカベンジャー受容体や炎症物質と、吸入された元素と細胞との関係を研究したいと考えております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンラインでの元素分析受付システムが稼働しており、分析依頼・結果の返送など、面倒な手続きが簡略化されている。元素分析に関する問い合わせは、呼吸器内科医のみならず病理診断を担当される先生からもあり、実際に分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインによる元素分析受付を継続する。 研究会・国内外の学会での出席・発表を通して、肺組織の元素分析の認知度を上げる。 免疫組織化学を併用して、元素と細胞相互の病態解明に結びつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた理由は、いくつかあります。初年度で慎重になったこともあり、前倒しでの物品購入を控えたこと。日程により米国胸部疾患学会など、海外学会への参加を見合わせたこと。免疫組織化学に使用する抗体ついて、選定を行っており、抗体と試薬の購入前であったこと。ガラスカーボンの購入前であったことなどがあげられます。
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次年度使用額の使用計画 |
今後の使用計画として、元素分析に使用するガラスカーボンの購入(単価350,000円x1回)、免疫組織化学に関わる抗体と試薬の購入、染色(単価29,000円x20回)元素分析の啓発のため、国内学会・海外学会での出席・発表(300,000円)を行います。
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