研究課題
本研究は、インフルエンザウイルス感染症や関連する細菌性肺炎に代表される重症肺炎および重症感染症において、個体側の因子=免疫因子が過剰に反応していることで、かえって組織障害を促進し、肺炎や感染症の重症化に寄与している可能性を検討することにある。特に好中球を中心とする免疫の活性化:NETs (Neutrophil Extracellular Traps)に焦点を当て、さらに臨床上の治療および感染予防・重症化対策へフィードバックすることを大きな目標としている。この点において、過剰免疫が持続性・難治性感染を形成している可能性の高いパスツレラ症において、以前にもインフルエンザウイルス感染症でも免疫賦活薬としての作用が確認されたマクロライド系薬による急性増悪予防効果を症例にて報告できた。また、重症化予防に重要なワクチンの開発において、同じくインフルエンザでの重症化因子として同定したToll-like receptorの不活化抗体による刺激によって、前もって感染症の重症化を阻止できる可能性をマウスモデルにて示すことができた。さらに、重症インフルエンザ肺炎症例を市中感染型、院内感染型、さらに医療・介護関連型の3タイプに分けて報告し、重複するインフルエンザ菌の強毒化を示唆することもできた。また、臨床の現場における重症感染症診断に関して、プロカルシトニンなどバイオマーカーの有用性、インフルエンザと混同しがちなEBウイルスによる伝染性単核球症でのペニシリン系薬投与の危険性から、正確かつ迅速な診断法の開発が、インフルエンザなどの重症化阻止に重要なことを示唆できたと考えている。
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