研究課題
胸膜中皮腫の中心的化学療法剤としてペメトレキセドが使用されているが、本剤に対する耐性を獲得した患者には十分有効な治療方法が存在しない。このためペメトレキセド耐性克服方法の開発は緊急の課題である。本研究では、我々が独自に樹立したペメトレキセド耐性胸膜中皮腫株を用いて、その遺伝子発現プロファイルを親細胞株と比較することによりペメトレキセド耐性を付与する分子を明らかにし、これを制御すると共に、我々がこれまで検討してきたADCC機序増強による抗EGFR抗体療法と組み合わせることにより、より有効なペメトレキセド耐性克服治療方法を開発することを目的として本研究を行った。平成26年度はペメトレキセド感受性細胞株と、本細胞を持続的、段階的に高濃度セツキシマブ存在下で培養しクローニングし、樹立した耐性細胞株網羅的遺伝子発現解析をDNAマイクロアレイを用いて行った。具体的にはRNA抽出キットを用いてRNAを抽出し、その純度をAgilent2100バイオアナライザをもちいて検定のち、Agilent社Whole Human Genome オリゴDNAマイクロアレイを用いて、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、耐性細胞株だけに発現量が変動しているいくつかの耐性因子候補を見出した。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ当初計画どおり、耐性細胞株のDNAマイクロアレイによる網羅的発現解析を行うことができた。その結果、いくつかの耐性因子候補を見出した。このことから、次年度以降の研究計画を順調に進めることができるものと考えている。
見出した、耐性因子候補1つ1つについての検証実験がいまだ途上である。これを薦めながら、検証が終わった遺伝子から計画通りマウスモデルを用いた検証に入る予定である。
本年度、マイクロアレイ解析により抽出した耐性遺伝子候補が計画よりかなり多かった。このために、検証実験をすべての遺伝子について終えることができず、このために計上していたが費用が次年度使用額として生じた。
平成27年度に、残りの候補遺伝子に関する検証実験を終了する。
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