研究課題/領域番号 |
26461159
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
清水 英治 鳥取大学, 医学部, 教授 (50187449)
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研究分担者 |
高田 美也子 鳥取大学, 医学部, 研究員 (50523643)
千酌 浩樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (90283994)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胸膜中皮腫 / ペメトレキセド / 耐性 |
研究実績の概要 |
胸膜中皮腫の中心的化学療法剤としてペメトレキセドが使用されているが、本剤に対する耐性を獲得した患者には十分有効な治療方法が存在しない。このためペメトレキセド耐性克服方法の開発は緊急の課題である。本研究では、我々が独自に樹立したペメトレキセド耐性胸膜中皮腫株を用いて、その遺伝子発現プロファイルを親細胞株と比較することによりペメトレキセド耐性を付与する分子を明らかにし、これを制御すると共に、我々がこれまで検討してきたADCC機序増強による抗EGFR抗体療法と組み合わせることにより、より有効なペメトレキセド耐性克服治療方法を開発することを目的として本研究を行った。 平成27年度は平成26年度研究で行った、ペメトレキセド感受性細胞株と、同細胞を持続的、段階的に高濃度セツキシマブ存在下で培養しクローニングし、樹立した耐性細胞株における、DNAマイクロアレイデータを解析した。その結果、ペメトレキセドに耐性化した中皮腫細胞は、EGFR経路の発現は抑制されていたが、GPCRとその下流分子、ことにPI3Kの発現が増加していた。また低分子G蛋白であるRho、Racの発現も増強していた。この結果から中皮腫細胞はペメトレキセドに耐性化すると、増殖のドライブがEGFRからGPCR、低分子G蛋白系に移るものと考えられた。次にPI3K-inhibitor BEZ235はペメトレキセド耐性化細胞の増殖を抑えることを見いだした。本結果はペメトレキセド耐性化中皮腫細胞に対する新しい治療標的を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初計画どおり、耐性細胞株のDNAマイクロアレイによる網羅的発現解析の結果から、新たな分子標的をみいだすことができた。そのほかにも、同アレイ解析の結果からいくつかの耐性因子候補を見出しているため、これらを標的に次年度以降の研究計画を順調に進めることができるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
見出した、耐性因子候補1つ1つについての検証実験がいまだ途上であるが、これらの検証が終わった遺伝子から計画通りマウスモデルを用いた検証に入る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、マイクロアレイ解析により抽出した一遺伝子(PI3K)に注目して、治療効果解析を行った。他に多くの耐性遺伝子候補があるため、検証実験をひきつづき行う必要がある。このための費用を次年度使用額として計上している。
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次年度使用額の使用計画 |
マイクロアレイ解析により抽出した他の遺伝子について、ペメトレキセド耐性の治療標的となるかどうかの検証実験をひきつづき行う。多くの遺伝子候補があることから、十分な費用を要する可能性が高い。
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