研究課題/領域番号 |
26461162
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
上岡 樹生 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (00274374)
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研究分担者 |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50263976)
村上 雅尚 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80571017)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ウイルス / 感染症 / 呼吸器腫瘍 / 微生物 |
研究実績の概要 |
本研究では、肺癌などの呼吸器悪性腫瘍の成因上、ウイルスや細菌といった微生物の持続感染が直接あるいは間接的に関与している事実を探求する。 本年度は新規癌ウイルスであるメルケル細胞ポリオーマウイルスに着目し、非小細胞肺癌におけるメルケル細胞ポリオーマウイルスの関与を検討した。 これまでに我々は、一部の非小細胞肺癌においてメルケル細胞ポリオーマウイルスのゲノムや蛋白を検出した。しかも検出されたウイルスが野生型ではなく、腫瘍特異的感染形態をとって存在することを突き止めた。皮膚癌の一種であるメルケル細胞癌以外の癌で、このような感染形態を証明したのは初めてであった。 そこで、メルケル細胞ポリオーマウイルスが非小細胞肺癌細胞に感染し得ることを確認するために、メルケル細胞ポリオーマウイルスの全塩基配列をクローニングし、リポフェクタミンを用いて、非小細胞肺癌細胞株に導入した。その後、ウイルス由来mRNAと蛋白が発現されているかをRT-PCR法とウエスタンブロット法で解析した。その結果、メルケル細胞ポリオーマウイルスDNA導入肺癌細胞において、ウイルスmRNAのみならず、ウイルス由来蛋白のlarge T antigen (LT) とviral protein 1 (VP1) の発現が起きることを見出した。これらの所見は、メルケル細胞ポリオーマウイルスが非小細胞肺癌細胞に感染し、複製できることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究で、メルケル細胞ポリオーマウイルスが非小細胞肺癌細胞に人工的に感染し、癌蛋白と言われているウイルス由来蛋白の発現が起きることを証明した。今後の研究につながる成果であり、研究が計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた研究成果をさらに推進させる。非小細胞肺癌細胞において、メルケル細胞ポリオーマウイルス遺伝子が発現されるに伴い、どのような細胞(宿主)側遺伝子が発現変化するかを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は試薬を中心に物品費の支出を最低必要限に抑えて予算を執行したため、若干の繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具などの物品費、成果発表のための国内旅費、および人件費・謝金を予算に計上した。
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