研究課題
本研究では難治性気道アレルギー疾患であるABPMの新規標的分子の同定・その発現メカニズムの解明を行った。ABPMは大半がアスペルギルスにより惹起される。我々はこれまでにアスペルギルス抗原の含有するセリンプロテアーゼがムチン遺伝子の一つであるMUC5ACをはじめ、種々の遺伝子の発現誘導に重要であることを見出してきた。そこで本研究では、まずアスペルギルス抗原のセリンプロテアーゼ刺激で発現誘導される気道上皮細胞由来の分子を検討するため、培養気道上皮細胞とプロテアーゼ阻害剤を用いたin vitroの系を確立し、発現が変動する分子をマイクロアレイで網羅的に解析した。刺激後3時間後の早期ではcytokine-cytokine受容体関連遺伝子群、MAPK-signaling関連遺伝子群、Toll-like受容体関連遺伝子群などが発現誘導され、刺激24時間後の後期では早期でも認められたcytokine-cytokine受容体関連遺伝子群の他、B cell受容体-signaling関連遺伝子群、NOD-like受容体遺伝子群などが発現誘導されていた。さらに個々の遺伝子ではTSLP、IL-1α、MIP-3αなどが候補遺伝子として見出され、なかでもIL-1αは刺激早期および後期で発現誘導されており、mRNAレベルのみならず、蛋白レベルでの発現も確認された。また、IL-1αの発現メカニズムを解析したところ、EGF受容体阻害剤で著明に抑制されることから、その発現がEGF受容体を介していることが明らかになった。IL-1αは近年、誘導性気管支関連リンパ組織の形成促進など新規作用が報告されている。IL-1αのABPMの病態への関与を今後、in vivoの系、臨床検体を用いて検討していく予定である。
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Allergology International
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