研究課題/領域番号 |
26461168
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
宮永 晃彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (00591281)
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研究分担者 |
弦間 昭彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (20234651)
清家 正博 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30366687)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 次世代シーケンサー / 肺神経内分泌腫瘍 / 遺伝子変異 / 融合遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究は、次世代シーケンサーを用いて肺神経内分泌腫瘍における遺伝子変異・融合遺伝子の存在を明らかにし、新規治療標的バイオマーカーを探索することを目的としている。これまでに、我々は肺神経内分泌腫瘍の新規診断マーカーおよび予後因子・再発予測の候補となる分子を見出しているが、低悪性度肺神経内分泌腫瘍である肺カルチノイドは希少癌であることもあり、addicted oncogeneは見つかっていない。 平成26年度に、肺カルチノイド患者の腫瘍および肺正常部から抽出したDNA、RNAから次世代シーケンサーGenome analyzer IIx (Illumina)解析を行い、平成27年度にはRNAの融合遺伝子とエクソーム塩基配列解読の解析を、バイオインフォマティクスによる絞り込みやRT-PCR法及びSanger sequencing法で検証することで、治療標的や発癌に関与する可能性のある融合遺伝子および遺伝子変異を選択した。更に融合遺伝子候補に関しては、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を用いたFISHスクリーニングによる検証を進めている。また候補遺伝子変異および融合遺伝子をシグナル情報解析で検討し、肺神経内分泌腫瘍に特異的な遺伝子変異と融合遺伝子の意義を探索した。肺カルチノイド手術患者の腫瘍RNA に関し、Exon arrayを用いたRNA 網羅的発現解析と遺伝子変異・融合遺伝子との関連性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、肺神経内分泌腫瘍における遺伝子変異・融合遺伝子候補を選択しており、候補遺伝子の機能的意義を探索し、新規治療標的バイオマーカーへの応用を目指している。肺カルチノイドの次世代シーケンサー解析の候補遺伝子変異数は、過去報告されている肺癌の遺伝子変異数と比較して相対的に少ない結果であった。これは低悪性度腫瘍の症例に限定した解析のため、悪性度の高い組織型に比べて変異数が少なかったと推測されるが、インフォマティクスの再検討も必要と考え検討を重ねている。また悪性度神経内分泌腫瘍であるLCNECも比較対象となるため、症例集積に努めているが、希少癌に分類されることから集積には一定の時間を要する。低悪性度腫瘍でも予後が異なることが示唆されている定型カルチノイドと非定型カルチノイドの相違にも着目して解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、肺カルチノイドに特異的遺伝子変異・融合遺伝子の候補をシグナル情報解析で検討し、肺神経内分泌腫瘍に特異的な遺伝子変異と融合遺伝子の意義を探索した。また肺カルチノイド手術患者の腫瘍RNA に関し、Exon arrayを用いたRNA 網羅的発現解析と遺伝子変異・融合遺伝子との関連性を検討した。今後は、臨床情報との対比から、遺伝子変異・融合遺伝子及び予後予測遺伝子を用いた肺神経内分泌腫瘍の個別化治療法の構築、を計画している。神経内分泌腫瘍は希少癌であり、悪性度神経内分泌腫瘍であるLCNECも合わせて症例集積に努め、次世代シーケンサーによる遺伝子変異・融合遺伝子の追加解析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺カルチノイドの次世代シーケンサー解析の候補遺伝子変異数は、以前に報告されている肺癌の組織型の遺伝子変異数と比較して相対的に少ない結果であった。この結果に対し、バイオインフォマティクスの再検討を検討しているため消耗品が使い切れなくなり、当初の予定より使用額が減少した。また肺神経内分泌腫瘍は希少癌であるため、症例集積が遅れているため、使用額が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
悪性度神経内分泌腫瘍であるLCNECも合わせて症例集積に努め、次世代シーケンサーによる遺伝子変異・融合遺伝子の解析を検討する。解析結果による候補遺伝子に対しての機能解析を計画する。
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