研究課題/領域番号 |
26461169
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
山口 悦郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10201831)
|
研究分担者 |
高橋 歩 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30374292)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 自己免疫性肺胞蛋白症 / 自己抗体 / GM-CSF / エピトープマッピング / 表面プラズモン共鳴法 |
研究実績の概要 |
これまでGM-CSFを6個のペプチドに分けて、ELISAプレートに固相化し、エピトープマッピングを行おうとしたが、患者血清と健常者血清で結合度に差を見出し難く、結合はすべてIgGとペプチドの非特異的結合によるものであると推定された。そこで表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた解析に転換することとした。 GE Healthcare社のBiacore:sensor chip SAを使用し、ビオチン化したGM-CSFあるいはビオチン化GM24-52(ペプチド24-52)をチップに固定した。次いで患者血清から精製したIgG(抗GM-CSF活性があるはず)との相互作用を検討したところ、当初GM-CSFとの相互作用のみ確認されたが、接触時間を長くすることでGM24-52との結合も認めるようになった。濃度系列を作成し、Kd、Ka、KDを算出しようとしたが、うまくカーブフィットできなかった。チップ作製元に照会したところ、アナライトがポリクローナル抗体の場合、機器附属のソフトではかならずしも最適に解析できないことが判明した。すなわちアナライトがポリクローナル抗体の場合、1分子に結合サイトが2つあるので、結合様式はBivalent modelになる。そこでsのモデルで解析したが、やはりうまくフィットせず、多価結合で複雑になっており解析できないようである。またアナライト濃度が高くなるにつれてレスポンスが減少する割合が増えている場合は多価結合しているか、単純な1:1Bindingではない可能性があり、センサーグラムの形状からやはり複雑な多価結合しているようであった。 一方抗体活性がない健常者から精製したIgGは、GM-CSFを固定化したチップとの相互作用は認められず、上記の患者血清との相互作用は、特異的であろうと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年はELISA法からSPR法に変更したが、アナライトが多価抗体であることから、kd, ks, KDなどの計算はできないことが判明した。GM-CSFへの特異的な結合を評価できるところまでは漕ぎつけたが、現状ではエピトープマッピングの手法の確立には至ったとは言えない。今後SPR法を用いながら以下に示す方法に修正し、すべてのエピトープをマッピングをするのではなく、特定のエピトープ活性と言う視点で各患者血清を評価し、最終的な結果につなげたい。
|
今後の研究の推進方策 |
GM-CSFを固定したチップにまず抗GM-CSF抗体(市販モノクローナル標準抗体)を添加し、レスポンスを測定する①。ついでanti GM-CSF抗体(患者血清)を添加してレスポンスを測定し②、①より②で結合量が低下する場合はその血清に含まれている一部の抗体のエピトープが同じまたは近傍にあると考える。その際予備実験として下記の点につき、検討を加える予定である。 1)リファレンスセルのブロッキング:ブロッキングには、biotin-PEG4-amineを使用。ブロッキング後の相互作用を確認。 2)デキストラン添加による非特異的吸着の改善:アナライトの変性などによる疎水的な非特異的吸着の場合、デキストラン添加により非特異的作用が改善される可能性あり。 3)洗浄液の検討:洗浄液を変更、洗浄液の添加時間、回数の確認。 4)再現性:アナライト相互作用の再現性があるか確認。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品総金額が予算に合致しなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に全額使用予定である。
|