表面プラズモン共鳴法についてリファレンスセルとリガンド固定化セルのレスポンスの位置が、ヒトIgG(健常者血清精製品)添加時と患者から精製したGM-CSF抗体添加時で異なっていたため、精製時のバッファー交換量を検討した。その結果大元のセルのレスポンスはほぼ同等になり、改善された。それにともない、hIgG添加時に現れていたレスポンスがなくなり、相互作用は認められないことが分かった。 そこで血清を直接希釈して連続インジェクションとシングルインジェクションで重ね書きをし、ELISAで用いている精製GM-CSF抗体の標準品と比較して、特定のペプチドに対する結合度を比較することとした。そのために確認することとして、以下の点が挙げられた。 1)デキストランを添加することによって直接希釈が可能か。リファレンスへの非特異的結合が起こらないか。2)直接希釈が不可であれば、GM-CSF抗体まで精製する必要があるか、そん場合試料量は足りるかどうか。3)今現在チップに固定化しているペプチドはGM24-52のみなので、他のペプチドでも確認する必要がある。4)チップにペプチドを固定化するにはペプチドをbiotin化する必要があるが、研究室でできるタイプのbiotin化試薬は第一級アミノ基をbiotin化するタイプのものになるので、Lys基もbiotin化されてしまう。GM-CSF固定化チップ(第一級アミノ基をbiotin化)とGM24-52固定化チップ(末端biotin化)への抗体の結合レスポンスを比較するとGM-CSF固定化チップのレスポンスが低いので立体障害が起きていると推測され、末端biotin化の必要がある。 今後これらの検討を経て、さらに解析を重ねる予定である。
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