研究課題
成体幹細胞に発現しているマーカーの各種プロモーター下にCre-ERT2を発現する遺伝子改変マウスとCreのDNA recombinase活性により蛍光蛋白質を発現するレポーターマウス(Rosa26-rainbowなど)を掛け合わせ、Tamoxifen(TM)を腹腔内投与することでCre-ERT2を活性化させ幹細胞をin vivoにて標識し、幹細胞およびその子孫である分化細胞の追跡を行った。Bmi1については放射線による肺障害モデルにおいて、I型肺胞上皮およびII型肺胞上皮の両方が再生されることがわかり、これらは肺胞領域の幹前駆細胞であることがわかった。Bmi1はSPC陽性のII型肺胞上皮細胞の一部に発現していることを確認した。またI型肺胞上皮細胞のマーカーであるHopxを用いて同様な検討を行ったところI型肺胞上皮からもII型肺胞上皮の再生が認められることが分かった。このように肺胞領域においてI型肺胞上皮細胞とII型肺胞上皮細胞の間に可塑性が認められた。さらにBmi1-CreERT2/Loxp-STOP-Loxp(LSL) KrasG12Dを作製することにより幹細胞マーカーを発現する細胞にTM誘導によりKras変異を発現させたところ、1つの幹細胞からclonalに腫瘍化が起こることを確認した。一方で分化したII型肺胞上皮細胞(alveolar type 2(AT2) cell)由来:SPC-CreERT2/LSL KrasG12DによりAT2細胞特異的にTM誘導によりKras変異を発現させたところ、AT2細胞のclonalityな増殖は認めたが、腫瘍化することなく現在のところ全例TM投与後8w以内で死亡しており、おそらく肺サーファクタントの過剰分泌による窒息が死因と考えられる。このことはII型肺胞上皮細胞の内Bmi1を発現する細胞から肺がんが発生する可能性を示唆する。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 41838-41847
10.1038/srep41838.
巻: 6 ページ: 39386-39391
10.1038/srep39386.