研究課題
本研究の目的:気管支喘息患者は発作時に呼吸困難を自覚するが、重積発作を経験した患者や罹病期間の長い患者では呼吸困難に対する脳の反応が低下するとの報告がある。このような患者では、喘息発作があっても自覚に乏しく、治療が不十分となる恐れがある(コンプライアンスの低下)。本研究の目的は、①脳皮質のどの部位が喘息発作時の呼吸困難感と関連しているのかを明らかにする。②どのような喘息患者で呼吸困難に対する脳活動の“反応性”が低下するのかを明らかにする現在までの結果:気道過敏性検査時の呼吸困難感と脳活動の関連を調べるため、Near-infrared spectroscopy (NIRS)装置(光トポグラフィー:HITACHI WOT-100)を用いて計測した。脳皮質のoxy-Hb濃度の増加及びdeoxy-Hb濃度の低下を脳活動の活性化とした。気道過敏性陽性の気管支喘息患者13名と健常人6名を対象とした。現在は少数例でプレリミナリーなデータであるが、気管支喘息患者では前頭前野前頭極領域皮質の活性化とBorg scaleによる呼吸困難感とが相関がみられた。ピーク時の呼吸困難は健常者に比べて喘息患者で強かったが、前頭前野皮質の活性化は喘息患者の方が有意に低値であった。さらに、喘息患者では、喘息の罹患期間とピーク時の脳活動とに負の相関がみられた。今後の研究推進方針としては、1.気管支喘息患者において、気道狭窄時の呼吸困難感に関連する脳活動部位を同定する2.気管支喘息患者で呼吸困難に“鈍感な“グループがあるのか脳活動から検証する3.治療コンプライアンス、増悪回数、罹患年数、年齢などのうち呼吸困難に伴う脳活動にもっとも影響する因子を検討する。また治療により呼吸困難の反応が改善するのかを検討する。
3: やや遅れている
適切な研究対象患者の確保が遅れている。
気管支喘息患者さんで研究に参加いただけるように説明していく。健常対象者の選定を急ぐ。
研究対象の選定が遅れていたため研究計画が遅くなり、研究発表のための学会発表が遅れている。
追加の研究対象者の選定を急ぎ、研究結果の集計を行って次年度に学会発表を行う。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)
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