研究課題
気管支喘息患者では喘息発作時などに起こる呼吸困難感に対する感受性が低下していることが報告されている。とくに発作を頻回におこす重症患者では感受性が低いとされている。本年度の研究では、光トポグラフィによる脳皮質活動の計測を行い、気管支喘息患者では呼吸困難時における脳皮質活動が健常者と比較して低下していることが判明した。対象:気管支喘息患者13名、健常コントロール6名方法:メサコリンによる起動過敏性検査を実施し、SpO2、呼吸困難感、呼吸機能(1秒量)、脳皮質活動(光トボグラフィ)、血圧、呼気CO2濃度を経時的に計測した。脳皮質活動は酸素化Hb(oxy-Hb)と還元型Hb(deoxy-Hb)を経時的に計測し、1分間毎の平均値を計測した。メサコリン負荷による呼吸機能低下に伴う呼吸困難感を修正borg scale(0から10)にて計測した。SPO2は経皮酸素モニターにて1分毎に計測し、血圧も1分毎に計測した。結果:前頭前野領域皮質のoxyHb濃度は呼吸困難感と有意に相関した(p<.05)。また、血圧と呼気CO2濃度とは相関がみられなかった。呼吸困難感が強くなるにつれて前頭葉皮質活動が増加した。脳皮質活動は健常コントロールに比較して喘息患者では低下していた(p<0.05)。また、ピーク時の脳皮質活動と喘息罹患期間には負の相関がみられた。つまり、喘息罹患期間が長い方が、呼吸困難の感受性が低下していることが分かった。今後の研究:症例を増やして計測するとともに、治療介入後の変化につていも検討する必要があると考える。
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