腫瘍モデルとしてマウス乳癌細胞の 4T1 細胞を用いて抗リンパ管新生療法と抗血管新生療法及び抗腫瘍免疫療法を併用し、併用がより強力な増大抑制作用をもたらすか確認した。抗腫瘍免疫療法としては抗 Death Receptor-5 (DR-5) 抗体を用いてDR-5 を発現しているがん細胞へ細胞死を誘導した。抗リンパ管新生療法及び抗血管新生療法としてはリンパ管新生作用をもつ vascular endothelial growth factor receptor-3と血管新生作用を持つ vascular endothelial growth factor receptor-2 等を同時に阻害する sunitinib を用いた。腫瘍細胞をマウスの足裏に皮下注し2週間後に腫瘍と所属リンパ節の膝下リンパ節を解析した。腫瘍の血管の正常化をhypoxyprobe を用いて低酸素の改善で評価したところコントロールに比べ Sunitinib 処置群とDR-5 とSunitinib 併用処置群でより正常化していた。またリンパ管の正常化を腫瘍内に注射したエバンスブルーのリンパ節中の濃度で評価したところSunitinib 処置群でコントロール群より濃度が上昇しておりリンパ管の正常化が示唆された。所属リンパ節でのdendritic cell (DC) や T 細胞の活性化をフローサイトメトリーで評価した。DC とCD8+ T 細胞の活性化はDR-5 抗体処置群とDR-5 とSunitinib 併用処置群で増強していた。腫瘍を背中にうち成長速度をみたところDR-5 とSunitinib 併用処置群で各々の単独処置群より増大速度が低下した。またコントロールと比べ、全ての処置群で増大速度が低下した。同様の結果はマウス大腸癌細胞のCT-26 を用いても得られた。
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