研究課題
近年、アスベストとアクチンの結合能が高いことが判明してきており、本研究では新規に発見されたアクチン結合蛋白質:p116Ripを介した新たなアスベスト関連腫瘍発生機構の解明を目的とする。アクチン新規結合蛋白質であるp116Ripの果たす役割を、ヒト気道培養細胞を用いたin vitroのcell motilityやシグナル伝達の実験系で機序を解明する。また、ヒトのアスベスト関連肺癌のパラフィン標本を用いたp116Ripの免疫組織学的な評価を、実際の臨床経過と照らし合わせて検討を進めていく。本研究では、アクチン結合タンパク質であるアスベストとp116Ripの関連性と、p116Ripのアスベスト関連肺腫瘍の発生過程に関わるシグナルメカニズム及び、臨床学的経過への影響を解明していく。これまでの研究では、アスベスト暴露歴のある患者の肺内の元素分布をPIXE解析によって詳細に行い、肺内吸入元素分布とそれら吸入元素の生体内分布を検討した。そしてこれらの結果を2015年5月、米国デンバーで行われた米国胸部疾患学会でポスター発表を行った。2015年7月、東京で行われた第46回日本職業・環境アレルギー学会で口演を行い、さらに2015年10月に群馬県高崎市で行われた第10回高崎量子応用シンポジウム、及び第31回PIXEシンポジウムでそれぞれポスター、口演発表を行った。これらの発表に関する内容について英文でまとめ、現在英文誌に投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
アスベスト暴露歴のある患者の肺標本を用いて免疫染色とmicro PIXE解析による吸入元素解析を行い、アスベスト暴露歴のある肺組織の肺内吸入元素の胸郭内分布を詳細に検討しさらに免疫組織学的検討も加えているところである。本研究に関する学会発表も本年だけで全4回行い、おおむね順調に研究および研究成果のまとめが進んでいるものと追われる。
今後は、これまでのPIXEによる吸入元素の肺内濃度と肺組織中のタンパク発現との関連性や、これらの結果との p116Ripとの関連性との研究をさらに進めていき、英文雑誌への掲載に向けて積極的に国内外での学会発表を行っていく。さらに必要に応じて、データの信憑性を高めるために、PIXE解析や免疫組織学的検討の症例数をさらに積み重ねていく。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
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