研究課題
近年、アスベストとアクチンの結合能が高いことが判明してきており、本研究では新規に発見されたアクチン結合蛋白質:p116Ripを介した新たなアスベスト関連腫瘍発生機構の解明を目的としてきた。p116Ripはアクチンやミオシンなどのモーター分子に結合するタンパク質で細胞の走化性に大きく関わっているが、有用な特異的抗体が存在せず研究がなかなか進んでいない。肺から吸入されたアスベストは、全身の様々な臓器に集積し発癌に関わっていることが知られているが、アスベストの体内での移動や発癌のメカニズムには不明な点が多い。そこで本研究において、アスベスト結合蛋白質として知られているアクチンに着目し、新規に作成したアクチン結合蛋白質であるp116Ripの特異的抗体を用いて、アスベスト関連肺腫瘍でp116Ripと吸入分子との局在一致を確認した。さらにアクチンやその他の上皮間葉移行マーカーとの局在についての検討も行い、p116Ripがアスベスト関連肺腫瘍に関わっている可能性が示唆された。さらに、アスベスト暴露歴のある患者の肺内の元素分布をPIXE解析によって詳細に行い、肺内吸入元素分布とそれら吸入元素の生体内分布を検討した。そして、p116Rip抗体を用いた組織学的検討において、肺内吸入元素分布に一致したp116Ripの分布が示された。これらの研究成果を国内外の様々な学術集会で発表してきた。また英文では、Environmental Health and Preventive Medicine誌に、和文ではBio Clinica誌に発表した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 図書 (1件)
BIO CLINICA
巻: 6 ページ: 142-145
Internal Medicine
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Environ Health Prev Med.
巻: 6 ページ: 492-500
10.1007/s12199-016-0576-5