KRAS変異陽性肺腺癌細胞の増殖能はMEK阻害薬により抑制され、この増殖抑制効果はp38阻害薬の同時併用や、RNA干渉によるp38αノックダウンにより増強された。以上より、MEKとp38の同時阻害がKRAS変異陽性肺腺癌に対する有効な治療戦略となる可能性が考えられた。 一方、複数のKRAS変異陽性肺腺癌細胞株においてPD-L1の高発現が認められ、RNA干渉による変異型KRASノックダウンや、MEKやERKの阻害薬により、PD-L1発現が低下することが示された。以上より、肺腺癌において、KRAS変異はMEK-ERKシグナル伝達経路を介してPD-L1発現を正に制御していることが示唆された。
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