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2015 年度 実施状況報告書

C型レクチンによる気管支喘息発症抑制機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461184
研究機関千葉大学

研究代表者

廣瀬 晃一  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90400887)

研究分担者 高取 宏昌  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30568225)
鈴木 浩太郎  千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (90554634)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードC型レクチン / Dectin-1 / Dectin-2 / アレルギー性気道炎症
研究実績の概要

気管支喘息は成人の4~6%が罹患する最も頻度の高いアレルギー性肺疾患である。また、近年の疫学調査でもその罹患率は増加傾向を示していることから、その対策が喫緊の課題とされている。気管支喘息の発症、重症化と正の相関を示す疫学因子として真菌感作が知られており、また気管支喘息の発症と負の相関を示す疫学因子としてBCG接種、ピロリ菌感染が知られている。興味深いことにこれらの因子はすべてC型レクチンにより認識されることが知られているが、C型レクチンのアレルギー性気道炎症発症における働きに関しては不明な点が多い。本研究ではアレルギー性気道炎症における各種C型レクチンの働きを明らかにすることを目的とした。
チリダニ(HDM)を経気道投与することにより誘発されるマウスアレルギー性気道炎症モデルを用いて真菌認識機構であるC型レクチン Dectin-1、Dectin-2の働きを検討した。Dectin-1欠損マウス、Dectin-2欠損マウスともにDHM誘発性アレルギー性気道炎症モデルにおいて好酸球性炎症が減弱していることが明らかとなった。さらに肺浸潤CD4陽性T細胞のサイトカインプロファイルを検討したところ、Th2サイトカインのみならずTh17サイトカインが減弱していることが明らかとなった。
この分子機構を解明するため肺におけるDectin-1、Dectin-2発現細胞を検討した。興味深いことにDectin-1、Dectin-2ともにアレルギー性気道炎症発症に必須であるCD11b陽性樹状細胞に高発現することが明らかとなった。
今後は、Dectin-1、Dectin-2のCD11b陽性樹状細胞における働きを詳細に検討するため、それぞれのC型レクチンにより誘導される遺伝子群をRNAシークエンスにより解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Dectin-1欠損マウス、Dectin-2欠損マウスの解析によりDectin-1、Dectin-2のアレルギー性気道炎症における働きが解明され、これらの分子に関しては当初の予想を上回る進展を見せていると考える。同様の解析手法は他のC型レクチンの役割の解明にも応用可能であり、今後も順調に進展することが予想される。
一方、申請時には他のC型レクチンの解析も並行させることを予定していたが、Dectin-1、Dectin-2の解析を進める過程で、これらの分子が新規治療標的となり得ることが示されたため解析を先行させている。
他のC型レクチンに関しても欠損マウスの入手を申請済みであり、コロニーが拡大された時点で早急に解析に着手する予定である。

今後の研究の推進方策

上記のようにDectin-1、Dectin-2がHDM誘発性アレルギー性気道炎症の発症に寄与していること、さらにDectin-1、Dectin-2が肺CD11b陽性樹状細胞に発現していることが示された。今後はHDMによりDectin-1、Dectin-2依存的に発現誘導される遺伝子群をRNAシークエンスを用いて網羅的に同定するとともに、それぞれの遺伝子のアレルギー性気道炎症における役割を解明することを予定している。
既に肺よりCD11b陽性樹状細胞を単離する方法、および解析に必要なDectin-1欠損マウス、Dectin-2欠損マウスは入手済みであり、コロニーを拡大しているため早期に実験に着手できる状態にある。

次年度使用額が生じた理由

DC-SIGN欠損マウスを入手しコロニーを拡大する予定だったが、依頼先の状況によりまだマウスが入手できていない。このため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

遺伝子欠損マウスの繁殖、および抗体購入へ使用予定

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Corticosteroid-sparing effect of tacrolimus in the initial treatment of dermatomyositis and polymyositis.2015

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Y, Furuta S, Ikeda K, Hirose K, Nakajima H.
    • 雑誌名

      Mod Rheumatol

      巻: 25 ページ: 888-892

    • DOI

      10.3109/14397595.2015.1029239

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Helios Enhances Treg Cell Function in Cooperation With FoxP3.2015

    • 著者名/発表者名
      Takatori H, Kawashima H, Matsuki A, Meguro K, Tanaka S, Iwamoto T, Sanayama Y, Nishikawa N, Tamachi T, Ikeda K, Suto A, Suzuki K, Kagami S, Hirose K, Kubo M, Hori S, Nakajima H.
    • 雑誌名

      Arthritis Rheumatol.

      巻: 67 ページ: 1491-502

    • DOI

      10.1002/art.39091.

    • 査読あり
  • [学会発表] Dectin-1 expressed on CD11b+ dendritic cells promotes house dust mite-induced allergic airway inflammation in mice2015

    • 著者名/発表者名
      ITO Takashi, NORIMOTO Ayako, HIROSE Koichi, SAIJO Shinobu, IWAKURA Yoichiro, NAKAJIMA Hiroshi
    • 学会等名
      第44回日本免疫学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
  • [学会発表] Dectin-1はCD11b陽性樹状細胞に発現し、チリダニ誘発性アレルギー性気道炎症を促進する2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤崇、乗本綾子、廣瀬晃一、西城忍、岩倉洋一郎、中島裕史
    • 学会等名
      第64回日本アレルギー学会学術集会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪(東京都・港区)
    • 年月日
      2015-05-26 – 2015-05-28
  • [学会発表] 新規発症の皮膚筋炎・多発筋炎におけるタクロリムスの効果2015

    • 著者名/発表者名
      横山裕亮、古田俊介、池田啓、廣瀬晃一、中島裕史
    • 学会等名
      第59回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25
  • [学会発表] 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における免疫抑制剤の再発予防効果2015

    • 著者名/発表者名
      策愛子、末廣健一、牧田荘平、山形美絵子、古田俊介、池田啓、廣瀬晃一、中島裕史
    • 学会等名
      第59回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25
  • [備考] 千葉大学医学部附属病院 アレルギー・膠原病内科

    • URL

      http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/allergy/research/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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