研究課題
気管支喘息は気道を場とした慢性アレルギー性炎症であり、その病態の中心には抗原特異的Th2細胞、およびTh2サイトカインが存在する。多くの気管支喘息患者は吸入ステロイド薬、および気管支拡張薬によりコントロールが得られるが、喘息患者全体の10%はこれら既存治療に抵抗性であり新たな治療方法の開発が待たれている。一般に気管支喘息の重症度は真菌への感作の有無と相関することが知られている。このことは真菌に対する免疫応答が気管支喘息の重症化へ寄与していることを示唆するが、その詳細な分子機構は不明である。我々は近年、真菌への免疫応答に関わる受容体として同定されたDectin-1、Dectin-2のアレルギー性気道炎症における働きを検討した。Dectin-1、Dectin-2欠損マウスにHDM誘発性アレルギー性気道炎症を惹起したところ、野生型マウスに比較し有意に気道炎症が減弱していた。さらにTh2細胞分化のみならず、Th17細胞分化も減弱していることが明らかとなった。Dectin-1、Dectin-2が如何にしてアレルギー性気道炎症発症に関わるか、その分子機構を明らかにするため、これらの発現細胞を同定したところDectin-1、Dectin-2ともCD11b陽性樹状細胞に発現することが明らかとなった。さらにDectin-1のCD11b陽性樹状細胞における働きを明らかにするためRNAシークエンス法により解析したところ、Dectin-1は樹状細胞においてケモカイン、ケモカイン受容体の発現を促進することにより樹状細胞の所属リンパ節移行に関与することが明らかとなった。本研究により難治性喘息発症にC型レクチンであるDectin-1、Dectin-2が関与すること、さらにこれらのC型レクチンが難治性喘息治療の新規治療標的となる可能性が示唆された。
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