研究課題
肺の器官形成における遺伝子発現制御の階層性を明らかにすべく、公共データベースを活用して解析を進めた。具体的にはFANTOM5で提供されているマウス肺のCAGEデータや、GEOで公開されているマイクロアレイのデータセットを活用した。自己組織化マップ・クラスタリングなどの手法で、各発生段階において特徴的なgene signatureを抽出した。さらにテキストマイニングの手法も併せ、リプログラミングの鍵となりうる転写因子数十個を選定した。染色体に組み込まれず自己複製が可能なエピソーマルベクターによる遺伝子導入法を試みていたが、導入効率と細胞生存率の低さが制約であった。これを解決するためネッパジーン社のスーパーエレクトロポレーター NEPA21の活用を試みた。EGFP発現ベクターを用いて、iPS細胞、肺上皮細胞株、肺線維芽細胞株への遺伝子導入効率を、フローサイトメーターと蛍光顕微鏡での観察によって評価し、電圧・パルス幅など条件検討を行った。分化誘導培地として肺上皮細胞用の無血清培地を使用することが簡便であり、その分化誘導活性は分化マーカーの発現変化によって確認している。分化誘導の初期段階では細胞生存が妨げられるが、細胞選択という視点からはむしろ有用かもしれない。間葉系細胞との共培養や三次元培養・air-liquid interfaceについては、コラーゲンゲルを用いた実験系を構築している。さらにMACSを活用したマウス肺胞上皮細胞の分離培養法も導入しII型肺胞上皮細胞の培養に成功した。将来的な治療応用や疾患モデルでの活用を視野に入れると、分化誘導させた細胞が個体に生着するか否かを確認することが肝要である。ブレオマイシンによる肺傷害モデルや、片肺切除による肺再生モデルが進められている。
3: やや遅れている
遺伝子発現ベクターの構築や遺伝子導入の最適化に時間がかかっている。
複数の遺伝子の効率的な発現誘導を得るためにCRISPR/Cas9のシステムの導入を検討している。
研究進捗の遅れのため
新規の実験系の構築のための消耗品などの購入(分子生物学・生化学実験試薬など)
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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