研究課題/領域番号 |
26461193
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
前野 健 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10444952)
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研究分担者 |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60363925)
小笹 裕晃 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80572015)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小細胞肺癌 / ネスチン / 分子標的 |
研究実績の概要 |
小細胞肺癌におけるネスチンの臨床的意義を明らかにし、さらに新たな治療戦略の構築を目指して本研究を進めている。 ネスチンを標的としたin vivoにおける抗腫瘍効果の評価のため、小細胞肺癌細胞株DMS53にshort-hairpin RNA発現ベクターを導入しネスチンをノックダウンした安定細胞株を樹立した。マウスへの皮下移植実験を行ったところ、ネスチンのノックダウンによる腫瘍形成能の抑制効果を認め、小細胞肺癌の増殖に対するネスチンの関与が示された。 ネスチン発現調整メカニズムの解明に関しては、in vitroの検討を進めたところ、想定していたfibroblast growth factor receptor(FGFR)経路の関与は否定的との結果が得られつつある。そこで現在、新たな関連分子の発見をめざして網羅的な解析を開始している。 小細胞肺癌の臨床検体におけるネスチン発現に関しては、まずは免疫染色の方法を確立した。そして現在までに目標症例数の半数となる約40例での検討を終えており、比較的高い頻度での陽性率を認めている。 抗癌剤耐性化におけるネスチンの関与に関しては、複数の抗癌剤耐性肺癌細胞株およびその親株を用いて、ネスチンの蛋白発現を比較したところ、前者において発現亢進を認めた。ネスチンが抗癌剤感受性に関与する可能性が示唆されたため、現在DMS53およびそのネスチンノックダウン株を用いて抗癌剤暴露に伴うcell viabilityの差異につき評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネスチン発現調整メカニズムの解明に関して、当初想定していたFGFRならびにfibroblast growth factor 2を中心に解析を進めたところ、ネスチン発現との関連性が否定的との結果が得られつつある。それ故、この点に関しては達成度がやや遅れているのが現状であるが、その他の研究計画に関しては概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ネスチン発現調整メカニズムの解明に関しては、新たに網羅的な手法を導入し、関連分子の発見をめざして解析を進めている。臨床検体を用いた研究に関しては、症例数を増やすとともに生存期間や臨床病期を含めた臨床パラメーターの情報収集も並行して行う。細胞株やマウスを用いた実験も研究実施計画に従い進め、堅実なデーター収集に努める。
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