研究課題
平成27年度にて、EZH2に対するsiRNAまたはMockとなるsiRNA(陰性コントロール)を導入した2種類の小細胞肺癌細胞株(SBC3、SBC5)から抽出したTotal RNAを用いて行った網羅的マイクロRNA発現解析の結果を評価した。その結果EZH2 siRNAを導入したSBC3とSBC5において共通して有意に発現が亢進または低下したマイクロRNAを複数検出した。これらのマイクロRNAについては、EZH2発現ベクター導入によりEZH2を過剰発現させたSBC3とSBC5において、EZH2 siRNAを導入した細胞株とは逆の発現パターンを示すことを確認した。そのうち発現が最も有意に亢進していたmiR-4448を候補とした。miR-4448に対する機能解析としてmiR-4448のmimic(標的のマイクロRNAと同様の機能を示す2本鎖RNAヌクレオチド)を作製し、SBC3、SBC5の各小細胞肺癌細胞株に導入して、miR-4448が過剰発現していることを確認した。一方で陰性コントロールとなる2本鎖RNAヌクレオチドを導入することにより、miR-4448の発現が変化しないことも確認した。その後mimicを導入した細胞株においてリアルタイムPCRとウエスタンブロットを用い、E-カドヘリンの発現亢進とビメンチンの発現減弱を確認し、miR-4448が上皮間葉転換(EMT)を抑制することを示した。さらにmimic導入、2本鎖RNAヌクレオチド導入、無処理の条件下でSBC3、SBC5各細胞株に対してCell growth assayとMatrigel invasion assayを行い、miR-4448に対するmimicを導入したSBC3、SBC5の増殖機能、浸潤能が有意に低下していることを確認し、EZH2はmiR-4448発現を抑制することにより癌遺伝子として機能することが示唆された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Chemotherapy
巻: 62 ページ: 151-8
10.1159/000454944
Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: 46 ページ: 1135-42
10.1093/jjco/hyw124
東京医科大学雑誌
巻: 74 ページ: 256-67
Annals of Cancer Research and Therapy
巻: 24 ページ: 47-51
自治医科大学紀要
巻: 38 ページ: 65-9