研究課題/領域番号 |
26461196
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
太田 洋充 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40451562)
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研究分担者 |
萩原 弘一 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (00240705)
海老名 雅仁 東北薬科大学, 大学病院, 呼吸器センター長 (10280885)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MUC4のシークエンス / MUC4発現ベクター / 初代気道上皮細胞 |
研究実績の概要 |
①MCU4発現ベクタ―の作成 ヒトのリンパ球からDNAを抽出し、制限酵素で切断し、MUC4のVNTR領域についてSouthern blottingを行ったところ、肺障害をきたした患者のリンパ球では21000塩基付近のバンドを共通して認めた。そのため、この21000塩基の中に肺障害の原因配列があると考え、 DNAから相同組み換えを使用し、プラスミドに回収した。また、正常(特に肺障害の既往のない)成人についてもリンパ球を抽出し、southern blottingを行った。同様に21000塩基付近にバンドを認めたため、正常コントロールとして、同じくプラスミドに回収した。この2つのベクターの塩基配列を比較すると、繰り返し配列以外に3塩基の挿入を認め、MUV4の機能になんらかの影響を与えているものと予測した。これらのプラスミドからそれぞれの発現ベクターを作成した。 ②手術検体からのヒトの初代気道上皮細胞の作成と不死化 MUC4の肺での発現は,これまでの報告から、主に気道上皮細胞と予測される。そのため、手術検体(切除肺)からの初代気道上皮細胞の作成を試みた。ヒトの切除肺の気管支をブラシで擦過、培養液で洗浄することにより、気道上皮細胞を回収した。これらの細胞をトリプシン等で処理し、初代気道上皮細胞を作成した。ただし、これらの細胞は短期間で細胞老化に至ってしまい、安定して細胞の機能解析を行うことは困難であった。そのため、hTERTをレトロベクターを用いて、初代気道上皮細胞に導入した。その結果、初代気道上皮細胞を安定して長期間培養することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MUC4のVNTR領域は約20000塩基と大きく、発現ベクター作成に時間を要した。また、初代気道上皮細胞はすぐに細胞老化することが判明し、そのままでは実験に使用できなかった。そのため、新たにこれらの細胞をhTERT導入し不死化する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
MCU4の発現ベクターをヒトの上皮細胞に導入し、機能解析を行う。ErbB2やErbB3 を共発現させ、機能解析を行う。また、作成した、不死化したヒトの気道上皮細胞を用いて機能解析を行う。ヒトの気道上皮細胞を好中球エラスターゼで処理した場合、MUC4の発現が亢進することが知られており、不死化した気道上皮細胞を好中球エラスターゼで処理し、MCU4のVNTR領域の遺伝子多型により、細胞機能が変化しているか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者の肺からの初代培養細胞の作成と不死化、また、MUC4のクVNTR部分のクローニングと発現ベクターの作成に予想以上に時間がかかり、シグナル伝達系の検討のための実験にまで進むことが出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
患者の肺検体から、初代培養細胞の作成と不死化を進め、さまざまなVNTRの遺伝子多型を持つ気道上皮細胞を作成する。これまでに、気道上皮細胞を好中球エラスターゼで処理することによりMUC4の発現が亢進することが報告されている。そのため、好中球エラスターゼで気道上皮細胞を処理しVNTRの遺伝子多型で細胞の反応が異なるか検討する予定である。また、MUC4の発現ベクターが完成しており培養細胞に導入してMUC4のシグナル経路の解析を行う予定でる。次年度に繰り越した使用額を用いてこれらの実験を行う。
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