研究実績の概要 |
申請書に記載したわれわれの当初の計画では、新規に開発されたmTORC1とmTORC2を同時に阻害するdual mTOR inhibitorを用いて研究を進める予定であった。しかしながら諸般の事情により、この物質の供与を受けることができなくなってしまった。われわれの研究計画では、この新規のdual mTOR inhibitorを用いて肺線維化病態におけるmTORC2-SPARC経路の関与を明らかにすることを目的としていたが、mTORC2のみを特異的に阻害するcompoundはこれまで開発されていない。 XPLN (exchange factor found in platelets, leukemic, and neuronal tissues)はRho GTPasesのguanine nucleotide exchange factorであるが、mTORC2を特異的に阻害する内因性の蛋白質であることが近年報告された。このためわれわれはXPLNに着目してmTORC2と肺線維化病態の関連についてのin vitroの研究を進めることとした。 まず最初に各種細胞株におけるXPLNのmRNAの発現を確認した。HFL-1, A549, macrophage, PC3, PC9, PC14, KMST6, MRC5, HeLa, MCF7などいずれの細胞株においてもXPLNのmRNAの発現が確認された。このためHFL-1とA549におけるTGF-b1刺激による、それぞれmyofibroblastへの分化及びEMTへのXPLNのsiRNAを用いたsilencingの影響を検討した。この結果XPLNはこれらのプロセスには関与していないことが確認された。
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