GLP-1とその分解酵素DPP-4の腎臓内シグナル伝達系とこれらをターゲットとした糖尿病性腎症に対する治療の可能性について検討した。進行性糖尿病性腎症マウスモデルKK/Ta-Akitaを用いた研究から、DPP-4阻害によりその基質の一つであるSDF-1αの発現が腎臓の糸球体上皮細胞と遠位ネフロンで増加すること、この発現増加は尿中ナトリウム排泄を促進し糸球体高血圧の改善をもたらすこと、SDF-1αからのシグナル遮断による腎保護効果の消失が示された。DPP-4阻害は腎臓内での活性型GLP-1のレベルを高めることに加え、SDF-1αの発現増加を惹起することで腎保護に貢献する可能性が示唆された。
|