研究課題
ポドサイトの剥離は慢性腎臓病の主要な原因であり、この進行性ポドサイト剥離について実験的に検討している。平成26年度の成果を受けて、27年度は、まずポドサイトのインテグリンエンドサイトーシスの機序について検討した。この実験はin vitroの不死化ポドサイトを用いたが、一般的にエンドサイトーシスに関連するクリスタリンのtranscriptは検出できたが、詳細な細胞内動態についてはさらに検討する必要がある。また、新たにポドサイト特異的障害マウスモデルとLDL受容体欠損マウスを交配して作成したNEP25/LDLR-/-マウスを用いて、ポドサイト消失に伴う糸球体毛細血管内の脂質異常やマクロファージの活性化などについて、病理学的に検討した。その結果、ポドサイトの障害により毛細血管内皮細胞に接着分子の発現亢進と、脂質の酸化が起きることをlipidomixの手法を用いて明らかにした。さらにこの脂質異常によりマクロファージが局所に浸潤し、さらにポドサイト障害を助長することが推察された。これらの成果から、ポドサイトの剥離は毛細血管内とのクロストークを介した連鎖反応であると考えられ、脂質代謝の改善やPAI-1抑制など、内皮細胞機能維持が重要と考えられた。
2: おおむね順調に進展している
研究成果は、腎臓病理、腎臓生理ではトップジャーナルに掲載された。
ポドサイトは何故剥離するのか?については全く分かっていないが、その剥離の連鎖を阻止するために、ポドサイトのストレス応答システムについて検討する。とくにNrf2やVCAMなどが、内因性の剥離予防機序に関連すると推察される予備実験データがあることから検討を重ねていく。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
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