我々は腎臓の発生をコントロールする蛋白Tcf21が、糖尿病性腎症や腎臓の繊維化に関与すると考えた。一方でTcf21のKOマウスは生まれた直後に死んでしまうので、大人になってからTcf21遺伝子を除去し、生存するポドサイト特異的Tcf21KO、あるいは腎間質でのTcf21KOを作製した。大人マウスでポドサイト特異的Tcf21 KOは尿蛋白を呈さなかったが、これに糖尿病を起すと、腎障害が進むことがわかり、Tcf21は糖尿病性腎症に保護的と思われた。また、間質特異的なTcf21KOは尿細管と集合管の著明な低形成を来たした。すなわち、Tcf21はポドサイトの保護や、腎間質の機能維持に重要と思われる。
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