尿細管間質の低酸素状態は、慢性腎臓病の病態増悪因子である。本研究では、低酸素誘導因子HIFに対する調節因子であるHIF3の機能解析を行った。HIF3は100-200程度存在するHIF標的遺伝子群のうち、lysyl oxidase(LOX)の低酸素発現誘導を選択的に抑制した。また、複数のラットCKDモデル(尿管結紮モデル、I型糖尿病モデル)において、LOXの薬理学的阻害は細胞外基質の蓄積を抑制し、抗線維化作用を発揮した。HIF3によるLOXの選択的発現抑制は、低酸素腎における抗線維化機構として重要であると考えられた。
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