研究課題
メガリンは近位尿細管細胞(PTEC)管腔側に発現し、多種の糸球体濾過タンパク質の再吸収に関わるエンドサイトーシス受容体である。メガリン解析を切り口として、以下の4点について研究を行った。1) メガリンと腎内レニン-アンジオテンシン系活性化の関係の解明:質量分析法を用いて各種アンジオテンシンペプチドを定量する系を開発した。メガリンノックアウトマウスを用いて、血液、尿、腎臓組織内のそれらの定量を行った。2) PTECの病的形質変化におけるメガリンの役割:高脂肪食負荷マウスにおいてはメガリンを介して腎障害が進展することを確認し、その機序について、メガリンを介する近位尿細管細胞内の過酸化脂質や老化物質の蓄積、およびオートファジーの異常が引き金になることを明らかにした。その成果となる論文をJ Amer Soc Nephrol誌に発表した。3) メガリンを介するリン調節機序の解明:既にリコンビナントklothoタンパク質がメガリンに直接結合することを、水晶発振子マイクロバランス法を用いて明らかにしているが、リコンビナントklothoタンパク質あるいはその断片をklothoノックアウトマウスに投与することで、リン利尿における機能的な評価を行った。近位尿細管由来培養細胞を用いて、FGF23、klothoとメガリン、NaPi2aの相互作用を検討する系を開発した。4) 慢性腎臓病患者における尿中メガリン測定意義の検討:2型糖尿病患者において、全長型メガリン(C-メガリン)および細胞外ドメイン型メガリン(A-メガリン)が、それぞれ、正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への、および微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への移行を予測することを見出した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
J Am Soc Nephrol
巻: 未定 ページ: 未定
10.1681/ASN.2016060606
Diabetes
巻: 66 ページ: 1391-1404
10.2337/db16-1031
Br J Nutr
巻: 11 ページ: 1-10
10.1017/S0007114516003512
巻: 27(7) ページ: 1996-2008
10.1681/ASN.2015020190
BMC Nutrition
巻: 2 ページ: 25
10.1186/s40795-016-0065-7
Biosci Biotechnol Biochem
巻: 80(10) ページ: 1980-1989
10.1080/09168451.2016.1166932
腎と透析
巻: 81 ページ: 54-58
検査と技術
巻: 44(12) ページ: 1134-1136