研究課題
26,27年度の研究成果では、糸球体足細胞培養実験モデルにおいて、足細胞傷害を引き起こす原因とされる酸化ストレスが足細胞のコネキシン43の発現レベルを促進すること、また、コネキシン43(Cx43)の発現を抑制することで、足細胞の傷害を抑えることを見出した。しかしCx43はin vivoでも足細胞傷害に関与しているか不明である。本年度は、C57BL/6JマウスにおけるCx43のWildtype(Cx43+/+)及びHeterozygous(Cx43+/-)を用いて in vivo足細胞傷害モデルにおけるコネキシン43の役割について検討した。1.マウスに足細胞傷害の実験モデルとして多用されているアドリアマイシン腎症(ADR 腎症)をCx43+/+及びCx43+/-マウスに惹起し、病態誘導1日目、3日目、5日目、7日目の尿、腎組織を採取し、尿蛋白レベル及び糸球体の病理的な変化について検討した。結果としては、ADR投与によって、腎臓組織のCx43の発現レベルが著しく増加した。しかし、ADR腎症マウスにおけるNephrin、Podocin発現の低下、タンパク尿の増加、及びP38の活性化に関する病理的な指標に関して、Cx43+/-マウスとCx43 wildtypeマウスの間には大きな差はなかった。2.同じ実験モデルマウスには、ギャップ結合インヒビター、また薬物性細胞傷害に深く関わっている分子機構であるinflammasomeのインヒビターを投与することで、尿タンパクの増加及び糸球体P38の活性化を抑制した。以上、Cx43+/-マウスを用いた結果では、in vivo足細胞傷害モデルにCx43の参与を認めなかった。In vivo足細胞傷害にCx43の役割の検討に関して、将来強力的なギャップ結合抑制剤の使用、及び足細胞特定的なCx43 knockoutマウスが必要となる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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http://erdb.yamanashi.ac.jp/rdb/A_DispInfo.Scholar/4_2_1/F425C32CE9837753.html