研究課題/領域番号 |
26461220
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小杉 智規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90584681)
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研究分担者 |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362253)
佐藤 和一 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (90508920) [辞退]
林 宏樹 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10378086)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CD147 / メタボリック症候群 / ATP産生 / 高脂肪食 / 脂肪肝 |
研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)とその危険因子である肥満症はそれぞれ、慢性炎症と代謝障害を通じて動脈硬化症や心臓・肝臓等に臓器障害を惹起する。CD147は乳酸代謝を促進し細胞内エネルギー代謝・ATP賛成に大きな影響を示す。我々は、1)腎尿細管に豊富に発現するCD147がATP産生亢進により糖・脂質・尿酸代謝の再吸収・輸送を促進する、2)酸化ストレスにより尿細管細胞のCD147発現は増加し、慢性炎症機構を活性化する、という知見を得ている。以上から過剰な糖・脂質・尿酸の細胞内蓄積による酸化ストレスはCD147を誘導・負のサイクルを形成する事によって相乗的な臓器障害を惹起する事が推測される。本研究では、腎エネルギー・代謝機構の網羅的解明を通じ、CKDから生じる臓器相関に対する治療法の探究を目的とする。 本年度は高脂肪・糖質を負荷した場合、CD147KOマウスでは野生型マウスと比して、遊離脂肪酸や尿酸・血糖・腎機能について有意に抑制もしくは改善を認めていたことが判明した。前年度報告の肝臓内の脂肪蓄積もまたCD147KOマウスにて有意に抑制されていたことを再確認し、その免疫学的解析を行った。結果として、M1 macrophageが野生型マウスに比してKOマウスでは有意に浸潤が抑止されていた。メタボローム解析などから、解糖系のG6Paseとその関連代謝物質や酵素の変化が認められた。腎臓についてもリポフスチン様物質の尿細管蓄積が尿細管間質障害を引き起こし、腎機能低下を引き起こすと考えられ、更に検索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、In vivoの検体採取・解析を終了し、その実験結果に沿って細胞培養を用いてそのシグナル経路の解明や分子生物学的・免疫学的意義について検証を開始した。特に、免疫学的なリンパ球やマクロファージに関するCD147の意義についてはIn vivoでの胴体解析を終了し、In vitroでの刺激実験によって詳細な誘導・分化経路の検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通り3年目として最終年度の実験計画を遂行する。本年度はメカニズムの解析とともに肝細胞への脂肪蓄積や腎尿細管細胞障害を誘導するリポフスチン様物質の細胞内蓄積に関するCD147の役割をエンドサイトーシス機構を中心に検討する予定である。そのため、CD147に付随する糖鎖機能についても検討を広げる予定である。
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