研究課題
慢性腎臓病(CKD)の予後を規定する最重要因子は心臓病とされている(心腎連関)。しかし、早期の心病変である心線維化を早期発見・モニタリングする簡便で適切なバイオマーカーは存在しない。そこで本研究では、複数の慢性腎不全モデルを用いて、慢性腎障害に伴う心臓障害を反映する指標代謝物群(バイオマーカー候補物質)をメタボローム解析を用いて探索し、代謝産物の中で、血清と心筋組織で相関・連動して動く物質を同定することを目的とした。申請者らは、26年度に5/6腎摘モデルを比較検討し573種の代謝物質の中から、心臓重量・線維化を反映し、モニタリングに適すると考えられるバイオマーカーの候補2物質(S311 MW=219, Y318 MW=131)を抽出することに成功した。1(1)すでに同定した候補物質Y318、候補物質S311で、候補物質の代謝経路(合成、分解)をメタボローム解析にて解析。代謝マップ(http://www. genome.jp/kegg/)を用いて、代謝酵素をその発現の動きを含めてreal-time PCRで検索。酵素活性も測定し、炎症・線維化の病態、原因、代謝産物の動態を検討した。(2) 同定したバイオマーカー候補物質を臨床応用するメタボローム解析から同定した候補物質を、当院にて腹膜透析(PD)施行中の患者血清で測定(n=53)。6カ月ごとに測定している心エコー検査のLVmass、心拡張障害指標(E/E')との相関を確認した。代謝物質Y318で検討し、血中Y318濃度は心エコー所見の心拡張障害所見と相関することを確認した。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りに研究は遂行できており、えられたバイオマーカーの候補物質について、臨床応用に向けて実際の患者において測定、病態との相関を検討し、予想されたものに近い結果が得られている。
当初の予定通り、バイオマーカー候補物質の臨床応用に向けてバリデーションスタディーをすすめていく。症例数を増やして検討をすすめる。CKDコホートでの心血管系合併症の発症率、生命予後との相関についても検討していく。
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