研究課題
【1】寒冷暴露時に、NGAL欠損マウス(KO)では野生型マウス(WT)に比べ体温低下が有意に抑制され、逆にNGAL過剰発現マウス(Tg)では著しい体温低下を認めた。この際BATでのUCP1遺伝子発現は、WTに比べKOで増加する傾向を認めた。β遮断薬あるいはNGAL:siderophore:鉄複合体の投与は、KOにおける体温上昇効果を消失させた。FDG-PET/CTでは、寒冷暴露時のBATでのFDG取り込み亢進が確認され、取り込みはWTに比べKOでは倍増、Tgでは半減した。以上より、寒冷暴露下において、NGALは鉄共存下にβシグナル依存的にBATでの熱産生を抑制すると考えられた。【2】腎虚血再灌流障害や水腎症モデルでは腎遠位ネフロンにおいてNGAL発現が亢進する一方、全身投与した標識NGALは速やかに糸球体濾過を受け、近位尿細管に効率よく再吸収されることをこれまで報告した。これにより腎障害時に急峻に増加する尿中NGALは腎局所および血液に由来すると推測される。これを検証するために、NGALやアルブミンの再吸収において必須の役割を果たすmegalinに着目し、条件付きmegalin欠損マウス(megalin floxed mice)を作成した。これと近位尿細管特異的に薬剤誘導性に遺伝子組み換えを誘導するNdrg1-CreERT2(柳田らが開発)を交配し、二重変異マウスでadultでmegalinの発現を消失させると、確かに尿中アルブミンが16倍、尿中NGALが800倍に増加した。以上より、近位尿細管の細胞死・脱落がなくとも、機能不全が生じるだけで、尿中NGALが著しく増加することが明らかとなった。【3】NGALおよびIL-10の二重欠損マウスを用いて、大腸炎においてマクロファージでNGALが誘導され、大腸菌などの貪食を促進させることにより、腸炎の重症化が防がれることを示した。
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