研究課題
メタボリック症候群(MetS)関連腎症における蛋白尿と腎障害進行のメカニズム、特に糸球体傷害とその際の細胞・臓器間ネットワークの解明を目指した検討を行い、以下の成果を得た。1.Na利尿ペプチド(NP)のpodocyteにおける役割:MetSでは心臓由来ホルモンであるNPの低下とアルドステロン(Aldo)亢進が知られている。podocyte特異的NP受容体(GC-A)欠損マウスを用いたin vivo解析、培養podocyteを用いたin vitro解析を行った。GC-A欠損ではAldo負荷で著しいpodocyte傷害が起こること、NPのAldo拮抗作用において局所でのp38MAPKおよびmetalloproteinase-10発現抑制が重要であることを示した。2.肥満糖尿病での交感神経系とN型Caチャネル(NCaC)の意義:肥満糖尿病マウス(db/db)とNCaCのalpha1サブユニット欠損マウスを交配し、db/db NCaC欠損(糖尿病KO)マウスを作製した。糖尿病KOマウスでは尿カテコールアミンの著減とともにアルブミン尿の著しい低下(-70%)を認めた。さらに、この機序にpodocyteのNCaC阻害が直接関与する可能性を示した。3.腎障害進展における自然炎症とマクロファージ由来MRP8の意義:糖尿病性腎症モデルに高脂肪食あるいはangiotensin IIを負荷すると自然炎症の著しい亢進が起こり、マクロファージ由来炎症惹起因子MRP8により受容体TLR4が活性化すること、その際にメサンギウム由来のエクソソームが重要であることを示した。4.高血圧モデルにおけるセリンプロテアーゼの役割:MetSモデルラットあるいはAldo/高塩食負荷ラットにセリンプロテアーゼ阻害薬を投与すると、高血圧と蛋白尿の著しい改善がみられ、その際に腎局所plasminが重要である可能性を示した。
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