研究課題
DMマウス (KK-Ay/TaJcl:Ⅱ型糖尿病モデル)を12週齢まで観察すると、コントロールマウス(BALB/cAJclマウス)と比較して著明に血糖値が上昇し、また尿量も顕著に増加した。蛋白尿はDMマウスで明らかに増加しておりまたクレアチニンクレアランス(Ccr)の増加も認められ、早期糖尿病性腎症の発症が確認された。さらにコントロール群と比較して著明なレニン活性の上昇が認められた。アセタゾラミドを食餌中に混ぜて連日投与を行い、蛋白尿やCcrの測定、およびレニン活性を測定したところ、DMマウスにおいて蛋白尿の減少が確認され、またレニン活性も非投与群と比較して抑制されていた。Ccrはごく軽度であるが低下していた。ループ利尿薬およびサイアザイド系利尿薬も同様に投与したが、蛋白尿減少効果は認められず、レニン活性の抑制も認められなかった。アセタゾラミドの持続投与においてはコントロール群と比較して尿中のNa濃度は上昇していなかった。血液ガス分析ではアセタゾラミド投与群でのアシドーシスは確認されなかった。現在までの結果から、Ⅱ型糖尿病におけるアセタゾラミドの投与はtubuloglomerular feedback(TGF)の抑制解除による早期糖尿病性腎症の発症抑制効果があることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
アセタゾラミドによる早期糖尿病性腎症発症抑制効果が確認され、また他の利尿薬では同様の効果が認められないという仮説が証明されたため。またレニン活性も予測通りにアセタゾラミド投与により抑制されることが証明された。さらにカナグリフロジンでの腎保護効果抑制検討実験のための準備にも入ることができている。
カナグリフロジンを持続投与し、早期糖尿病性腎症発症抑制効果が得られるか確認する。この際血中のレニン活性も同時に測定し、腎保護作用の機序も検討する。アセタゾラミド長期投与による蛋白尿の推移を確認し、早期腎症発症抑制だけでなく、長期的に腎保護効果が得られるか検討する。腎組織での検討も行う。さらに腎症の発症が比較的軽微なモデル(BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jclマウス)においてCcrやレニン活性の確認を行い、腎症発症におけるTGFの関与を検討する。
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