研究課題
Pax8-rtTA/LC-1ダブルトランスジェニックマウスとプロスタシン(Prss8) floxマウスおよびHAI-1floxマウスを交配し、Pax8-rtTA/LC-1/Prss8 or HAI-1flox/floxマウスを作成し、doxicycline投与によりプロスタシンおよびHAI-1の尿細管特異的KOマウス(TKO)を作成した。プロスタシンTKOにアルドステロンを皮下持続投与し、同時に高食塩食を負荷した。尿中アルブミン排泄や腎間質線維化の程度は対照群とプロスタシンTKOにおいて差を認めなかった。他のセリンプロテアーゼが活性亢進している可能性が考えられ、尿のザイモグラフィーを行ったが、使用している器質では対照群と比較し明らかな差は認めなかった。続いてHAI-1TKOの解析を行った。経口で食塩の急性負荷を行い、その後12時間毎の塩分排泄量を確認したが、対照群とTKO群で差を認めなかった。アルドステロンと食塩を投与し腎障害の程度を観察予定であったが、TKO群で有意に体重が小さく(その後の実験で再現性なし)、体重あたり同量のアルドステロンを4週間持続投与することは難しく中止した。代わりに一側尿管結紮モデルUUOを作製し、腎線維化の程度を検討した。UUOによる腎線維化の程度を組織学的に評価し、また腎線維化マーカーの発現をreal-timePCRで確認したが、対照群とTKO群で差は認めなかった。
3: やや遅れている
使用するマウスはトリプルトランスジェニックマウスであり、同週齢マウス個体の安定した確保が困難である。またセリンプロテアーゼロスタシンおよびその内因性阻害物質HAI-1の尿細管特異的KOでは、共にアルドステロン+食塩負荷や一側尿管結紮術において腎間質線維化の程度が対照群と変化がなく、当初の計画とは異なり、これらの分子の線維化への関与は腎臓では少ないものと考えられた。
これまでの研究でNa等の電解質代謝や腎の線維化においてはプロスタシンおよびその内因性阻害物質HAI-1の尿細管における役割は明らかにできなかった。今後は当初の計画の一つである、胎児および乳児期の尿細管機能獲得におけるセリンプロテアーゼの役割を明らかにするため、交配と同時、もしくは出産と同時にドキシサイクリンの投与を開始し、胎児期・乳児期にこれらの分子を欠損させ、尿量、尿電解質の変化を観察する。
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