研究課題
我々の予備検討でIgA 腎症モデルマウスの腎組織において糸球体IgA と一致してapoptosis inhibitor of macrophage (AIM) の過剰な沈着が認められており、AIMはIgA 腎症においてIgA 沈着後の起炎機序に深く関わっていることが示唆される。本研究では、IgA 腎症におけるIgA の糸球体沈着後の炎症・進展機序へのAIM axisの関与を検討することを目的とした。本年は主に動物モデルによる検証を行った。IgAの沈着により腎症を来すことが知られている6-19TgマウスをAIM KOマウスと交配させ、F2でAIM KOかつ6-19Tgマウスを作成した。同マウスを観察予定であったが、CRISP/Cas9による手法でgddYのAIM KOマウスを作成することに成功したため、こちらのラインの樹立および解析を優先した。AIMKO gddYでは、多量のIgA沈着にも関わらず糸球体障害およびIgG・IgM・C3・C5b9の共沈着は認めなかった。また、recombinant AIMの投与により、IgG・IgM・C3の共沈着と尿蛋白上昇および血尿を伴う腎障害が進行した。AIMはIgA腎症における糸球体IgA沈着およびIgG・IgMの共沈着を介した起炎性を規定することが示唆された。AIMKOおよびWTマウスへの打ち込み実験:gddYマウス由来の血清および精製したIgAをAIM KOおよびWTに静脈内投与し、経時的に血清・尿・腎組織の評価を行った。WT・KOともに2時間の時点で腎組織にIgA沈着を同程度認めたが、WTではD3で消失するのに対し、KOでは沈着が遷延することが確認された。また、KOでは糸球体内へのマクロファージ浸潤が少なかった。AIMはIgA沈着後のclearanceおよびmacrophage浸潤において重要なkeyであることが示唆された。
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