研究課題/領域番号 |
26461238
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
清水 芳男 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50359577)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レトロトランスポゾン / 糸球体腎炎 / 半月体 / 逆転写酵素阻害薬 |
研究実績の概要 |
半月体は原尿産生の場であるボウマン腔に生じる非合目的な細胞増殖であり、糸球体腎炎における予後不良を示す病理学的所見である。半月体形成のメカニズムは明らかにされておらず、特異的な予防・治療法も確立されていない。 我々のグループは、これまでマウスの半月体形成性腎炎モデルであるウシアルブミン(BSA)腎炎を用い、ゲノム上にひろく存在するレトロトランスポゾンのLine-1遺伝子(L1)が、半月体形成期に腎小体で強く発現し、L1の逆転写酵素活性を薬剤で抑制することにより、半月体形成が抑制できることを見出した。 今年度は、ヒトL1を強制発現し、活性化L1によって生じるL1遺伝子の複製とゲノム内でへの挿入(レトロトランスポジション)を組織上で観察可能なhL1-EGFPトランスジェニックマウスを導入し、BSA腎炎下でのマウス腎組織中のヒトL1遺伝子の動態とエファビレンツ投与の影響を観察する予定であった。 マウスの飼育および実験を行う順天堂大学災害医学研究所が順天堂大学静岡災害医学研究センターへ組織改編となり、施設の改修工事が始まったため、動物の新規導入が困難であった。組織改編に伴う取得済みであった動物実験・組換え遺伝子実験およびトランスジェニックマウスの導入に伴う許可を再取得し、平成28年度当初から研究を再開できるよう準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画1年目の平成26年度は、マウスBSA腎炎に対するエファビレンツの用量依存性の評価と半月体形成に関与する細胞増殖関連のプロモーター領域の解析が終了しないまま、順天堂大学から順天堂大学医学部附属静岡病院へ異動となり、平成27年度にこの研究を開始すべく災害医学研究所での研究許可を得た直後に、組織改編および施設の改修となった。このため、実質的な研究の進捗が得られなかった。 一方、災害医学研究センターの援助を受け、平成28年度当初からの研究の開始を行えるように事務手続きはすべて27年度内で行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度からは、新しく完成した静岡災害医学研究センターで、SPF動物実験が行えるようになり、必要な機材もそろった環境下で研究が行えるため、時間的な効率性を重視して、計画の遂行を行いたいと考える。 現時点では、動物実験施設でのマウス飼育頭数に余裕があるため、これまで用いてきたB10-BRマウスなどの解析とトランスジェニックマウスの実験を並行して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度から、所属が順天堂大学から順天堂大学医学部附属静岡病院に異動し、同院に併設される災害医学研究所にて動物実験を施行予定であったが、同研究所の組織改編と施設の改築が行われたため、実質的な研究が行えなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、研究施設および機器の使用が可能となった。これまでに行ってきたマウスモデル組織のゲノム解析とトランスジェニックマウスの実験腎炎モデル作成を並列的に行うなど、研究の遅れを取り戻し、効率的な研究運営を行うため、研究計画の見直しを行った。
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