研究課題/領域番号 |
26461241
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 陽一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60266690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | podocyte / ボーマン嚢上皮細胞 / BMP |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に作成した発現ベクター (pPEC-rtTA) を受託依頼にてマウス受精卵に注入。得られた計116匹のmouseのTail DNA 解析にて、8匹がpPEC-rtTAを有している事が確認された。そこで8匹それぞれのmouseについてactivator lineとしての正当性を確認する目的で、既に樹立済のTetO-Cre (responder line)と交配。得られたpPEC-rtTA/ TetO-Cre F1 mouseに対してDoxを投与することにより、ボーマン嚢上皮特異的なCreの発現の有無を検討した。結果、8匹のpPEC-rtTA founder mouseに由来するすべてのF1 mouseにおいてボーマン嚢上皮(PEC)におけるCreの特異的発現は認められず、したがって、今回作成したtransgenic mouseの今後の活用は不可と結論せざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画よりかなり遅れている。前記のごとく、今回作成を試みたpPEC-rtTA transgenic mouseの今後の利用は不可であった。また他施設で既に作成済のpPEC-rtTA mouse、あるいはそのexpression cassetteを入手することが本研究遂行の大きな進捗となるが、当該施設からこれまで供与承諾の返答は受けていない。当該施設以外にもこれを作成済みの施設があり引き続き供与依頼に努めていく。 一方、前年度までに得られたPodocine-rtTA; TetO-VEGFについて解析を進めたところ、糸球体内メサンギウム細胞の減少が認められ、その結果糸球体血管係蹄のintussusceptive splitting が生じないことを見出した。このメサンギウム細胞減少の機序を検討した結果、Podocine-rtTA; TetO-VEGF の糸球体においてはPDGF-B自体の発現量は野生型に比較し増加している一方、PDGF receptor-bのリン酸化は野生型に比較し低下している事が明らかとなった。この事は血管発生と同様、過剰のVEGFは内皮細胞の増殖とともに、メサンギウム細胞におけるPDGFのシグナル伝達を抑制することにより、その遊走や増殖を抑制する可能性を示唆した。
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今後の研究の推進方策 |
Dominant-negative (dn) BMP type II receptor (dnBMPR-II)(BMPシグナルの阻害)のtransgenic miceに関しては、千葉大および申請者の留学先であるVanderbilt大学が保有、BMPR-IIのfloxed mouseも既に作成済みであり、これにpPEC-rtTAを加えた3系統のマウスについて更に供与依頼に努めていく。 もし上記の状況により研究遂行が困難と判断せざるを得ない場合は、方策を切り替え、成体Podocine-rtTA; TetO-Nogginを使用し、ボーマン嚢上皮(PECs)のポドサイト化に関して集中的に解析を試みる。パイロット研究において一部のPECsにpodocyteマーカーの発現を認めたが、DOX投与を長期として①podocyteマーカー発現PECsの割合が更に増加するか否か、②電顕にてボーマン嚢上皮にfoot processがみられるか否か、また③VEGFの発現の有無とボーマン嚢外側における異所性血管係蹄形成の有無を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析対象となる得るマウスの作成が大幅に遅れているため、解析に使用予定の試薬等を未だ購入できていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
状況に応じて方策を転換し、現存のモデルを使用し形質を詳細に解析する予定とする。具体的には、組織解析、発現解析、生理解析のための試薬を購入予定である。
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