Dominant-negative (dn) BMP type II receptor (dnBMPR-II)(BMPシグナルの阻害)のtransgenic mice、BMPR-IIのfloxed mouseおよびpPEC-rtTAの3系統のマウスについて作成を試み、また多施設に何度が供与を依頼したが、残念ながら入手する事が不可であった。 以上の事情により、成体Podocine-rtTA/TetO-Nogginを使用し、ボーマン嚢上皮(PECs)のポドサイト化に関して検討を試みた。パイロット研究において一部のPECsにpodocyteマーカーの発現を認めたが、DOX投与を数カ月と長期継続してもpodocyteマーカー発現PECsの割合はほとんど増加せず、電顕におけるfoot processの形成も認めず、VEGFの異所性発現やボーマン嚢外側における異所性血管係蹄形成も観察されなかった。それに対して、DOX投与を長期継続することにより、短期投与に比較し、近位尿細管障害と間質の浮腫性拡大がより顕著になった。 以上より、①胎生期と異なり、成体における糸球体でのBMPシグナルの阻害はparietal podocyteを誘導しないこと、②胎児期と同様、糸球体におけるBMPは近位尿細管の正常構造の維持に必須である事が明らかとなった。
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