研究課題/領域番号 |
26461242
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
勝又 康弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60349719)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膜性腎症 |
研究実績の概要 |
膜性腎症は基底膜上皮下の免疫複合体沈着を特徴とする腎症であり、成人のネフローゼ症候群の一定数(3~8割)を占めるとされる。ネフローゼ症候群や糸球体腎炎は、病型により治療方針が異なるが、膜性腎症を含め、その診断や鑑別には侵襲的な腎生検が必須である。しかし、安静が保てない全身不良患者や高齢者では腎生検は困難である。加えて、膜性腎症に対しては薬物治療として免疫抑制療法を行うことがあるが、治療効果に対する免疫学的指標として確立したものがない。臨床現場では、血液・尿検査による簡便なバイオマーカーが求められている。本研究計画では、膜型ホスホリパーゼA2受容体に対する血清抗体(抗PLA2R抗体)の測定法として、汎用性、簡便性、定量性に優れた、ELISAを開発すること、開発したELISAおよび従来法を用いて、日本人の成人の特発性膜性腎症における血清抗PLA2R抗体の特徴の解析をすることであることを目的としている。 初年度(平成26年度)は、PLA2Rの安定形質発現株を用いたウェスタンブロットによる抗PLA2R抗体の検出、日本人特発性膜性腎症患者における抗PLA2R抗体の陽性率、抗体価の経時的推移の検討、同細胞を用いたCell ELISAの新規構築と抗PLA2R抗体価の定量測定、を行い、また、研究開始後に発売された市販ELISAキットの有用性も併せて検証した。 今年度(平成27年度)は、当初計画にあったELISAの独自開発は、同様のELISAキットが市販されたため中断し、ポドサイトのセルラインを用いて、抗PLA2R抗体の病原性についても検討する方針とした。ポドサイトのセルラインでは、mRNAレベルではPLA2Rの発現が確認されたが、蛋白レベルでは確認できなかった。そのため、DNAトランスフェクションによる一過性発現を試み、成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(平成26年度)に当初計画していた具体的な研究項目は、①PLA2Rの安定形質発現株の作製、②同細胞を用いたウェスタンブロットによる抗PLA2R抗体の検出、③腎生検検体とウサギ抗PLA2R抗体を用いた免疫蛍光染色、④日本人特発性膜性腎症患者における抗PLA2R抗体の陽性率、抗体価の経時的推移の検討、⑤同細胞を用いたCell ELISAの新規構築と抗PLA2R抗体価の定量測定であったが、③以外については、達成し、その成果を、学会で発表した。この発表においては、特筆すべきこととして、抗PLA2R抗体の測定結果が、同抗体の結果を知らずに臨床医が選択した治療方針と有意に関連していることが新たに見いだされた。 また、次年度(平成27年度)以降の当初計画としては、昆虫細胞・バキュロウイルスまたは哺乳動物細胞を用いた遺伝子組換えPLA2R蛋白の作製とそれを抗原としたELISAの新規構築を予定していた。しかし、同様のELISAキットが市販されたため、独自開発は中断し、その市販キットの有用性を日本人患者検体で検討することとし、有用であることを確認した。現在、これらの結果について論文作成中である。さらに、ポドサイトのセルラインを用いて、抗PLA2R抗体の病原性についても検討する方針とし、まず、DNAトランスフェクションによる一過性発現を試み、成功した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成28年度)以降の計画としては、PLA2Rを強発現させたポドサイトのセルラインを用いて、患者血清中抗PLA2R抗体の病原性についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画としては、昆虫細胞・バキュロウイルスまたは哺乳動物細胞を用いた遺伝子組換えPLA2R蛋白の作製とそれを抗原としたELISAの新規構築を予定していた。しかし、同様のELISAキットが市販されたため、独自開発は中断することにし、同市販キットを購入してその有用性を検証したので、必要経費が大幅に減少した。また、国際学会発表に伴う旅費について、別予算から充当することができたので、その分、必要経費が減少した。また、患者血清中の抗PLA2R抗体が認識するエピトープの探索などを代替計画として立案したが、実行直前で、海外の他施設が関連する特許を申請したため、急遽中止したので、見積もりまでしていたが、実際には資金を使わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、これらの差額を利用して、研究計画を拡張し、ポドサイトのセルラインを用いて、抗PLA2R抗体の病原性についても検討する予定である。
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