研究課題/領域番号 |
26461242
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
勝又 康弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60349719)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 膜性腎症 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、膜型ホスホリパーゼA2受容体に対する血清抗体(抗PLA2R抗体)の測定法として、汎用性、簡便性、定量性に優れた、ELISAを開発すること、開発したELISAおよび従来法を用いて、日本人の成人の特発性膜性腎症における血清抗PLA2R抗体の特徴の解析をすることであることを目的としている。 本年度(平成28年度)は、PLA2Rの安定形質発現株を抗原としたウェスタンブロットとCell ELISA、および研究開始後に海外で発売された市販ELISAキットを用いて、日本人特発性膜性腎症においても、約50%の陽性率があることを報告した論文を投稿し、査読中である。 また、ポドサイトのセルラインを用いて、抗PLA2R抗体の病原性についても検討する方針とした。通常のヒトポドサイト細胞株においては、蛋白レベルでは、PLA2Rは恒常的発現をしていないことが、予備的検討で確認されたため(遺伝子レベルでは、あり)、一過性強発現を試みたところ、確認できた。 しかし、以降の検討について、安定した実験系を構築するためには、安定形質発現の構築が望ましいため、ポドサイトのセルラインにPLA2Rを恒常的に強発現させて病態研究をする方針とし、作製・進行中である(期間内に完成しなかったので、補助事業期間延長承認申請を行い、承認された)。具体的には、安定形質発現株作製の第1段階として、まず、フルレングスのヒトPLA2R 遺伝子情報を合成した遺伝子をベクターに挿入し、次に、発現ベクターをヒトポドサイト細胞株にトランスフェクションし、目的遺伝子の発現をRT-PCRで確認する。トランスフェクション後の細胞を抗生剤を含む培地中で継代培養する。フローサイトメトリー解析などにて、目的蛋白の発現を確認後、細胞を限界希釈により96ウェルプレートに播種し、培養する。目的蛋白の発現が強いクローンを選択して拡大培養する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(平成28年度)は、ポドサイトのセルラインを用いて、抗PLA2R抗体の病原性についても検討する方針とし、まず、DNAトランスフェクションによる一過性発現を試み、成功した。さらに、ポドサイトのセルラインにPLA2Rを恒常的に強発現させて病態研究をする方針とし、作製中である(期間内に完成しなかったので、補助事業期間延長承認申請を行い、承認された)。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成29年度)以降の計画としては、作製したPLA2Rの安定形質発現ヒトポドサイト細胞株を用いて、患者血清中抗PLA2R抗体の病原性について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画としては、昆虫細胞・バキュロウイルスまたは哺乳動物細胞を用いた遺伝子組換えPLA2R蛋白の作製とそれを抗原としたELISAの新規構築を予定していた。しかし、同様のELISAキットが市販されたため、独自開発は中断することにし、同市販キットを購入してその有用性を検証したので、必要経費が大幅に減少した。また、患者血清中の抗PLA2R抗体が認識するエピトープの探索などを代替計画として立案したが、実行直前で、海外の他施設が関連する特許を申請したため、急遽中止したので、見積もりまでしていたが、実際には資金を使わなかった。安定形質発現ヒトポドサイト細胞株を委託作製中であるが、完成後支払いのため、支払いは次年度となったため、まだ実際には支出していない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、委託作製した安定形質発現ヒトポドサイト細胞株に支払いをし、その細胞株を用いて、抗PLA2R抗体の病原性について検討する予定である。
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