研究課題/領域番号 |
26461243
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
土谷 健 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (00246472)
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研究分担者 |
土谷 まり子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00266826)
浅宮 有香理 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40596566)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CKD / Klotho / futuin A / Phosphate |
研究実績の概要 |
本研究の目的および意義は、CKD(慢性腎臓病)の進行・重症化過程におけるKlothoの病態生理学的意義、治療上の標的分子としての可能性、臨床上のマーカーとしての意義を検討することにある。以下に具体的目的を掲げた。 1.腎障害進行時のCommon pathwayに関るKlothoの病態生理、意義ならびにシグナル・細胞生物学的作用の検討 2.CKDにおけるFunctional biomarkerとしてのKlothoの意義づけ 3.血中および尿中Klothoレベル測定法の評価および確立と各病態での測定意義 本年度においては、 1) Common pathwayに関るKlothoの病態生理、意義ならびにシグナル・細胞生物学的作用の検討: CKDモデルマウスでの検討(主として代表者土谷が担当): 初期の腎疾患を端緒に腎機能障害が進展、より重症化する過程でのKlotho発現を検討した。5/6腎摘では早期からKlotho発現は低下し、かつ経過中の虚血負荷で増悪された。2) Calciprotein particle-fetuin A複合体とKlothoとの関連(分担者浅宮が担当):近年、血液中の過剰なカルシウムとリンは結合体 [calciprotein particle (CPP)]を形成し、Feruin Aと結合しCPP-containing Fetuin A が作られることが報告されたが、そのマーカーとしての意義はマウスモデル、ヒトでの動態を検討するために測定手技の確立を行った。3) 血中および尿中Klothoレベル測定法の評価および確立:いまだに血中レベルの測定が容易でなくTOF MS装置を用いての測定を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.腎障害進行時のCommon pathwayに関るKlothoの病態生理、意義ならびにシグナル・細胞生物学的作用の検討: 5/6腎摘マウスは予想外にKlothoの発現の変化がみられた。早期からの変化と負荷(今回は虚血)により想定以上の増悪がみられることは、実際のCKD進展においての機序に関与するものと推測された。さらに、CKDの治療的手段と考えられている、ARBなどの治療が意義を持つかどうかの検討が可能で、今後の取り組みが可能となった。 2.CKDにおけるFunctional biomarkerとしてのKlothoの意義づけ: Calciprotein particle-fetuin A複合体の測定法の検討を行った。実験室に、測定に必要な機器、試薬等の準備を行い、実験動物、ヒト血清での測定準備がほぼ準備ができた。 3.血中および尿中Klothoレベル測定法の評価および確立と各病態での測定意義: Klothoの測定はまだ、確立に至っていない。従来の測定キットの各テストを行い、再現性の検討をおこなっている。TOF-Massの測定はまだ試行錯誤状態であり。 以上の状況からは予想の進捗具合の範囲内と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Common pathwayに関るKlothoの病態生理、意義ならびにシグナル・細胞生物学的作用の検討: CKDモデルマウスでの検討は、さらに幾つかの実験モデルで、発症早期から継続してKlothoの発現、そのレベルおよびFGF23などの関連液性因子のモニター、増悪、軽減因子などを検討。27年度はモデル動物として慢性化の時期に至り、病態としてもCKDに最もマッチした状態となると推定している。Calciprotein particle-fetuin A複合体とKlothoとの関連:組織障害、動脈硬化への関与とKlothoとの相関、関連の観察を続ける。27年度はリン吸着剤などの効果などを検討する。食事リン摂取量の調節、リン吸着剤投与モデルやFGF23の制御モデル。担当は浅宮が次項のTOF MASSでの測定とともに行う。 Klothoの細胞内シグナルおよびCKD モデルにおける繊維化制御機構の解明について、計画に加えて遂行する。FGF23の受容体としての作用では、ERKのシグナル系が指摘されているが、アポトーシス関連のシグナルPI3-K pathwayは、insulin/IGF-1 signalingが関わりを推定している。繊維化では、Wnt/cateninの系が推定される。血中および尿中Klothoレベル測定法の評価および確立は、OF MS装置を用いての測定を継続して行う。本実験の遂行には、浅宮が担当するが、Biomarker研究会(一般社団法人)指導と助言を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
請求はすべて物品費であり、計画の遂行中にアッセイの回数の減少に伴い、購入するキット数が減少し余剰額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年分に同等のアッセイを施行する予定であり、繰り越した。
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