研究課題
【背景】腎尿細管間質病変は腎予後と密接に相関し、その進行・抑止が重要課題である。間質病変は、糸球体病変と比較して、系統的診断法・疾患マーカーの開発が遅れている。成人の間質障害は、優性遺伝に従う集積を示す場合があり、Autosomal Dominant Tubulointerstitial Kidney Disease (ADTKD) という概念が提唱されている(KDIGO consensus report, Kidney Int.2015).【目的】原因分子を軸として間質障害を系統的に診断するための、基礎技術、情報基盤を構築する。【方法】次世代シークエンスと血尿中の生化学的疾患マーカーを組み合わせ、家族性間質腎炎の疾患遺伝子を効率的に探索する。1) 次世代シークエンス Ion-Trent(本学綜研に設置)を用い、既知疾患遺伝子パネルを作成して、スクリーニングを行う。パネル解析では、100-200個までの候補遺伝子を同時にスクリーニングする。検出された変異の病的意義を、サンガーシークエンス法で確認する。MUC1(FJHN1, 1q21) とUMOD(FJHN2, 16p12)に加えて、ネフロン瘻遺伝子についても検討する。2) 簡易疾患マーカーの開発 尿中に排泄される蛋白については、Western 解析、ELISAでの定量・定性を行う。非分泌蛋白の場合は、尿中細胞の免疫染色などを行い、発現量や局在の変化などを調べる。【目標】(1) 原因遺伝子の系統的鑑別アルゴリズムの作成、(2) より簡便な原因探査を可能にする疾患マーカーや診断技術の開発、(3) 次世代シークエンスのよる未知疾患遺伝子の同定【期待される効果】まれな家族例の病態を基に、さまざまな腎疾患の間質障害進展(CKD)に共通する分子機序の理解を深めることが可能になり、腎不全進展抑止を通じて国民健康の増進に広く貢献する。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)
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