研究課題
最終年度である平成29年度は、平成26~28年度に実施した研究のデータベースを基に、様々な分析を行った。具体的には、高血圧患者を主な対象として胸腹部大動脈の双方向性血流波形を超音波ドップラ法によって記録したデータを、新規の解析アルゴリズムに基づいて分析し、高血圧性臓器障害の指標との関連を調べた。また、研究対象者を高血圧患者のみならず健常者にも拡げて調査を行い、大動脈血流の生理的な役割について検討するとともに、高血圧患者との比較を行って大動脈血流の病的変化について考察した。研究期間全体を通じて、近位下行大動脈における拡張期逆流が、①高血圧患者における動脈硬化の進行とともに増大すること、②高血圧や動脈硬化による腎機能低下の機序と密接に関わること、および③腎機能低下に伴う大動脈逆流の増加が逆行性脳塞栓による脳梗塞の原因となり得ることを明らかにし、これらの新しい所見を米国心臓協会雑誌Hypertensionに掲載した。本研究は、大動脈の拍動性血圧のみならず拍動性血流の異常が様々な高血圧性臓器障害の発生機序に深く関わることを示しており、中心大動脈血行動態を血圧と血流の双方の視点から評価する必要性を強く示唆するものである。また、本研究で用いた大動脈血流波形分析は、心血管病や腎臓病のリスクを予測する新たな臨床検査法となり得ることが推測された。本年度は最終年度として、本研究から得られた所見を全体としてまとめ、国際英文雑誌(Journal of Atheroclerosis and Thrombosis)に総説として公開するとともに、本成果を日本腎臓学会の教育講演等において発表した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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