中心血行動態の主要構成成分である拍動性大動脈血流が高血圧性臓器障害に及ぼす影響について検討した。高血圧患者を対象に双方向性大動脈血流脈波を非侵襲的に記録し、拡張早期逆流と収縮期順流の比(逆流比)や大動脈コンプライアンスを計測した。大動脈逆流比は推定糸球体濾過量と有意な関連を有し、大動脈硬化に伴う腎機能の低下に寄与することが明らかとなった。また、大動脈コンプライアンスは拡張期の大動脈圧減衰やsubendocardial viability indexと関連し、大動脈伸展性の低下が心筋虚血の要因となることが推測された。本研究の結果は、大動脈血流動態異常が高血圧性臓器障害を惹起する可能性を示唆する。
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