研究実績の概要 |
4週令オスラットの片腎を摘出後し8%食塩食を1か月間負荷し、慢性腎臓病モデルラットを作成した。コントロール群として片腎摘出のみで0.3%食塩の正常食をあたえた。腎臓交感神経切除は実体顕微鏡下に残腎の腎動脈に併走する神経を同定した後切断した。心機能は右頚動脈よりミラーカテーテルを心室内に挿入し、心室内圧を測定し、dp/dt, -dp/dt, Tau,心室収縮期圧、拡張終期圧、および平均血圧を測定し、心臓拡張能、収縮能の指標とした。また、心重量を測定し、心肥大を評価した。腎機能は負荷終了1日前よりメタボリックケージにて採尿し、尿蛋白を測定した。負荷終了後採血をおこないCre、BUNを測定した。心臓、腎臓はホルマリン固定後HE, Azan, PAS染色など適宜用いて病理変化を評価した。 1.心臓交感神経活動の評価 心筋内カテコラミン濃度ならびにカテコラミン代謝を測定したところ腎交感神経切除にて変化を認めなかった。 2.心臓でのアドレナリン受容体、チロシン水酸化酵素の発現および機能の評価 α、β各受容体のサブタイプ、チロシン水酸化酵素のmRNAレベルおよび蛋白レベルで確認したが変化を認めなかった。 3. 心腎機能所見 慢性腎臓病モデルでは尿たんぱくが出現し、腎機能の低下が認められた。腎除神経で腎機能は変化しなかった。心肥大は慢性腎臓病モデルで明らかであったが、線維化は認めず、腎除神経でも変化を認めなかった。しかし、慢性腎臓病モデルで低下した心拡張能は腎除神経で改善した。同時にSERCA遺伝子の転写が抑制されていたが、腎除神経にて転写も改善した。SERCA遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化をパイロシークエンス法にて評価したところ、シークエンス可能であった領域ではDNAメチル化に差を認めなかった。現在NHE-1のmRNAについても検討を進めている。
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